金正恩「戦争も辞さない」

李在明、戦犯の金日成が「平和愛好家」?
日付: 2024年01月23日 11時30分


 ■金正恩「韓国は主敵」明言

北韓の金正恩の発言が年初の韓半島に緊張を走らせた。15日に金正恩が発したコメントの趣旨(16日、北韓朝鮮中央通信)は次の通りだ。
(1)韓国を最たる敵国、不変の主敵として確固たるものとする(2)北韓憲法の「自主・平和統一・民族大団結」との表現を削除する(3)有事の際、韓国を完全に占領し、北韓領域に編入する旨を北韓憲法に書き加える。
つまり、韓国を同族ではなく敵対国とみなし、1972年に南北が合意した「7・4南北共同声明」を破棄して、戦争勃発時には武力で韓国を占領する、という意味だ。
北韓において、金氏王朝の指導者による発言は憲法よりも上位の概念だ。そのため、金正恩の発言が単なるレトリックではないというジョン・カービー氏の指摘は間違っていない。
こうした北韓の挑発に対し、尹錫悦大統領は16日の国務会議で「『戦争か平和か』と脅す戦術はもはや通用しない。北韓が挑発してくるなら、私たちは何倍にも懲らしめる」とけん制した。続いて尹大統領は「韓国の国民と政府は一体となって北韓政権の欺瞞的戦術と宣伝、扇動を打ち破っていかなければならない」と述べた。金正恩が韓国に対して放った「敵対国」という表現についても、「北韓政権自らが反民族的かつ反歴史的な集団であることを認めたもの」と述べた。

 ■「私たちの北韓」と語る李在明

尹大統領の発言から3日後の19日、共に民主党の李在明代表は、北韓の敵対行為の中止を要請するブリーフィングを行い、物議を醸す発言を展開した。
「先代の人々や我々北韓の金正日、また金日成主席の努力が蔑視・中傷・毀損されないように努めるべきだ。(中略)政府は、北韓に対して本気を見せると言いながら平和の安全ピンを抜いてしまうような愚行を犯してはならない。北韓に対する敵対的な強硬政策を転換すべきだ」
北韓がミサイルで挑発し、金正恩に脅迫されている韓国。つまり、現在の緊張状態は北韓が招いたものであるにもかかわらず、韓国政府と尹大統領に責任転嫁し攻撃したような形だ。
これに対し、北韓の元外交官で国民の力の太永浩議員は「金正日と、金日成の努力とは何かと問いたい。金日成は6・25戦争を起こし、韓民族に計り知れない不幸と災難をもたらした主犯だ」と指摘した。李代表が使った「先代」という表現についても太議員は「北韓では、金日成と金正日を『先代首領』と崇める際に使う敬称だ」と語った。
民主党は同日、李在明代表の「我々北韓」という発言から「我々」という表現を削除し、北韓とだけ記録した。しかし、6・25戦争を起こして200万人の死者と1千万人の離散家族を生んだ戦争犯罪者・金日成と、核開発及び延坪島砲撃事件を主導した金正日に対し、韓国第1党のリーダーが「平和主義者」であるかのように礼賛した発言は消えない。
一方で最近、再び「従北左派の踏み絵」が話題となっている。金日成と金正日を罵ることができるかどうかで、従北派か否かが分かるというのだ。
北韓による挑発は、絶えたことがない。北韓は9・19軍事合意期間中にも海岸砲の射撃、砲門の威嚇開放など3600回にわたって合意に背いたことがある。9・19軍事合意は、文在寅政権時代の2018年、第3回南北首脳会談で交わされた一種の南北平和協定だ。しかし北韓は昨年11月23日、9・19軍事合意の全面破棄を宣言した。その後は露骨な軍事的挑発を続けている。

 

北韓の脅威を訴えたジョン・カービー米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)戦略コミュニケーション調整官


閉じる