昨年11月に開設した「みんだん留学生支援センター」が第1回のイベントを開催。日本各地から韓国人留学生らが都内の会場を訪れ、今後に向けた議論に参加した。日本への留学支援については、韓国内の日本語学校や、日本国内の留学生連合会がこれまでも協力してきた。これからの支援に民団が資するための課題や展望について取材した。
経済・就職のサポート期待
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が昨年3月に出した「2022(令和4)年度外国人留学生在籍情報調査結果」によると、コロナ下であった21・22年度にも韓国から日本の大学・専門学校など教育機関に留学した学生の総数は1万3000人を超えており、国・地域別留学生数でも上位5カ国に含まれている(上から中国・ベトナム・ネパール・韓国・インドネシア)。
韓国から日本への留学を支援する機関の一つ、江南に拠点のある時事日本語学院は年間約300人の留学生を日本に送り出している。来日後も地域ごとの留学生会が交流を図り、勉学や生活の相談に乗るなどの体制が日本の関東・関西・中部には整っているという。
以前からの強い支援の基盤があって、コロナ下でも韓国からの留学生数が維持されていたというのが実態のようである。
■支援センター設立の意義
都内の三田ガーデンタワーでは13日、「みんだん留学生支援センター発足記念セミナー」が民団中央本部の主催で行われた。関東・中部・近畿・九州など日本各地の大学などに在籍する韓国人留学生ら79人を含めた、関係者約100人が集まった。
セミナーのメインは、洪京振・民団中央本部総務局長と李愛俐娥・早稲田大学客員教授による二つの特別講義と、留学生同士でチームを組んでディスカッションを行うグループ別討議だ。センター実行委員会の朴宰賢さんが司会を務めた。
グループ別討議では、「より良い留学生活を送るためのネットワーク強化」「日常の中の公共外交」「留学生支援センター活用方案」について考えるというテーマが出され、初対面の学生も多かった中、多くの有意義な意見が出された。
■留学生の期待とこれから
議論に参加した韓国人留学生がセンターに寄せた声の中では「経済面・日常生活面・就職面へのサポート」を期待する意見が多かったが、そのほかの要望や感想なども多く出された。
民団の存在を知らない留学生も多くいるため、民団自体の広報を率先すべきという意見には、その具体的な方法としてカカオトークなどSNSの活用(一括情報案内も容易であるため)、新たなアプリの開発を提案する学生もいた。
また、今回の能登半島地震を踏まえ、安否連絡システムの構築や他地域への支援なども兼備するべきだと話す学生もいた。
全ての発表を終えたあとの総括で、玄東實・みんだん留学生支援センター長は「発表内容やアイデアの面で、大したことがないと思った発表は一つもなかった。留学生同士の先輩・後輩のネットワークが生きているという話が聞けて、嬉しかった」と話した。
また、玄センター長は「本国からの若い留学生たちに自分たちのコミュニティーがあるのだということをまず認識してもらい、個人主義から抜け出していける助けとなるよう、センターのこれからの活動を今日の成果をもとにして考えていきたい」と希望を述べた。
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ディスカッション後の集合写真