東京測地系→世界測地系 韓国の産業競争力

新たな成長の軸を求める動き活発
日付: 2024年01月16日 11時48分

 購買力平価(PPP)基準で、韓国の国民1人当たりの国内総生産(GDP)が2028年には世界第9位を記録するとの見通しが公表されている。
こうした見通しを示したのは、英国の経済ビジネス・リサーチセンター(CEBR)であり、CEBRは長期展望を盛り込んだ報告書である「世界経済リーグ・テーブル2024(WORLD ECONOMIC LEAGUE TABLE 2024)」を通して、韓国の24~28年のGDP成長率は平均2・2%を記録するだろうと予測した。
カナダはもちろんイタリア、ロシアなどを上回り、33年と38年においてもこの順位を維持するとCEBRは予測している。韓国は18年に10位へ上昇したことがあるが、昨年は13位に後退した。ただし、CEBRは、世界で最も低い出生率を韓国経済のリスク要因に挙げている。
韓国は女性1人当たりの子どもの数が1人未満という、世界でも唯一の国であるが、この点が高齢化及び寿命の伸びと結びつくことで、人手不足や公共財政の圧迫、そして究極的には成長の停滞を含む多くの経済的問題をもたらしかねないとしている。そのため韓国は、生産性の向上に一層依存するようになるというのがCEBRの分析となっている。
韓国の生産性は、国際機関である経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最悪の水準にあるが、それだけに遅れを取り戻す余地は大きいことになるとの見方も、韓国国内では出ている。
こうした見方がある中、韓国では、新たな成長の軸を求める動きがしっかりと見られており、筆者はそうした視点から見ると、「韓国は日本に優るファイティング・スピリットを持っている」と見ている。
韓国では、「世界の産業大国は長年蓄積してきた基礎科学技術を土台にした素材・部品・設備大国であるという共通点がある。韓国もしっかりとした素材・部品・設備の生態系を構築しなければならない」という認識が強まり、産業競争力をさらに一段階引き上げ、それを持続可能にする作業に着手するとしている。
具体的に、浦項市ではポステックという研究中心の技術大学、新素材・新物質発見のための第4世代放射光加速器を備えた浦項加速器研究所、ポスコフューチャーエムなど電池メーカーが密集しクラスターを形成している。
それぞれが電池関連の産学研体系を整え、電池素材部門でライバル国をリードしているとの自己評価をしている。
ソウルにあるLG・R&Dの閾値の中では、社屋内部に6G(第6世代移動通信)送信機と受信機が約10メートル間隔で設置されており、研究者たちがボタンを操作して送信機を徐々に動かすと、反対側にあった受信機の上のアンテナが急速に回り始めるという実験を行っていると報告されている。
これは、従来通信に活用していた電波より高帯域の6Gを送受信する実験を行っているという報告である。
LG電子は最近、世界最長の500メートルの距離で6G送受信実験に成功。「今後はまだ、通信周波数をより広く広げていくことが重要であるが、6G時代に向けて、高周波である電波をしっかりと集めて送受信することが核心技術になっている。
韓国がこの分野では最も先行している」と自己評価している。 シム・ヒョンチョルKAIST教授の研究チームが開発した世界初のヒューマノイド飛行パイロットである「パイボット」がテストデモを行ったと報告されている。人と同サイズのパイボットは、世界航空チャートはもちろん、航空機操作マニュアルと緊急対処法を記憶し、人間のパイロットよりも早く対応出来ると報告された。研究チームは今後、警備飛行機を利用した実際の試験飛行を経て、26年にパイボットの開発を完了したいとしている。
(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科教授 真田幸光)


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