米国の影響力低下、不安な同盟

中東戦争は世界大戦へと拡大か
日付: 2024年01月16日 11時29分

 ウクライナ戦争と中東戦争の沼にはまった米国が、今年11月の大統領選挙戦が本格化しながら体制の弱点を全世界中に曝け出している。米国防長官の秘密入院が米軍の命令体系を麻痺させたことや、バイデン大統領のホワイトハウスの非常識的運営などは米国の信頼を決定的に失墜させた。
米国の支援なしではキーウもイスラエルも、1日も戦争を続けられない。だが、米国はすでにウクライナを支援する余力などない。イスラエルがハマスとの戦争で苦戦するや、米国とイスラエル間の葛藤も深まっている。ネタニヤフ首相は、米国を引き込んでの戦争拡大を狙うが、米国の朝野ではイスラエルに振り回されてはならないという主張が高まっている。
米英が、イスラエルに宣戦布告したイエメン(フーシ派)を12日に攻撃した。サウジアラビアなどはイエメン攻撃の米空軍機の領空通過を許した。イエメンのイスラエルとイスラエル行き船舶攻撃には、ガザ攻撃中止という人道的名分があるが、米軍のイエメン攻撃は、国際法的に根拠はない。
南アフリカが昨年12月29日、ICJにイスラエルを提訴した。イラクは首相が、米軍の秩序のある撤退を要求している。イランは11日、米国のイラン原油「強奪」に使われた米国のタンカーを捕獲、革命守備隊はテロ報復名分でイラク内米軍基地などに大規模のミサイル攻撃を加えた。テュルキエ軍もシリアとイラクを攻撃した。
ロシアやイランなど、「SWIFT体制」に依存しない国々が増えている。SWIFT体制で世界貿易を支配してきた米国が、自らこの装置の無力化を招いた。原油価格は再び上がっている。米国が2022年に定めた原油価上限線の60ドルは意味がない。西欧と米国も、ロシア産原油を購入している。今の国際秩序の激変の受益者が誰なのかは分からないが、誰が敗者かは明確になったようだ。


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