内戦・革命前夜を彷彿させる選挙戦

国民を不安に陥れる韓国政治
日付: 2023年12月28日 09時49分

 韓国政局は霧の中だ。与党が敗北すれば、任期の半ばも経っていない尹錫悦政権は事実上のレームダックとなり、反対に圧倒的な勝利で尹大統領の弾劾を公言している野党が敗北すれば、李在明代表はもちろん、党の存続が岐路に立たされるためだ。韓国の国会議員総選挙は構造的、制度的に内戦や革命前夜のような緊張の中で行われるしかない。

国会改革が政治改革

国会暴走で三権分立体制形骸化

 民主主義政治制度の華とされる選挙だが、韓国では国民を不安に陥れる。今、総選挙を約100日後に控えていることから、単なる”投票行為”以上の意味を読むことができる。この常軌を逸した選挙戦には、韓国政治の特殊性が見られる。総選挙がなぜ革命前夜や内乱のように過熱するしかないかを見てみよう。
まず、今回の総選挙の結果は、尹錫悦政権の運命を決める。与党は、韓東勳法務長官を非常対策委員長として迎えた。韓東勳の政治家としての運命もかかった。今回の選挙を勝利に導くと、同氏は一気に尹大統領の後継者候補になる。
過去4年間、かつてなかった国会独裁をしてきた野党は、宋永吉前代表が先月18日に拘束された。他方、李洛淵元国務総理が新党を作ろうとする動きがある。野党が総選挙の前に、有罪判決がほぼ確実な李在明の「司法リスク」に対応するのは当然だ。
韓国総選挙は伝統的に、対抗する党のミスを誘うのが最高の選挙戦略とされてきた。互いに相手のミスを願う側面が強い。李在明党内には極度の危機感と疲労感が漂っている。「全大協」と「韓総連」(利敵団体)が対峙している。李洛淵元首相が、李在明の退陣を要求して新党を作る準備をしている中、文在寅政権時の丁世均、金富謙元首相が昨年12月24日に会合を行った。
司法リスクを抱えている李在明側が取り出したカードが金建希特検法だ。ただこれには無理がある。自由弁護士協会が昨年12月23日、具体的に指摘したとおり、李在明党が4月の総選挙のために政略的に貫徹しようとする金建希特検法は明らかに違憲だ。この事件は、文在寅政権の検察が2年間も捜査したのに立件できなかったのだ。10年前、尹大統領と結婚前のことで、政治的影響力を及ぼす余地などない事案だ。
だが、社会主義革命方式で政治を行う野党としてはやはり尹大統領夫人のスキャンダルを作ることが最も効率的な選挙運動だと考えるのだ。尹大統領は、野党が進める特検法が違憲なので拒否する可能性が高い。
国会議員選挙が激しくなるしかないのは、まず政府構成が外見上は三権分立構造だが、憲法に国会を牽制する装置が全くなく、実質的には韓国は国会中心制、国会独裁という状況にある。したがって、国会を掌握すれば、政局を主導することができる。
総選挙で混乱と反則が横行するのは、全大協、韓総連などで若い頃から社会主義革命運動をしてきた左翼が多いためだ。彼らは目的達成(革命)のためにはあらゆる手段が正当化されることを肯定する体質だ。このような背景を見ると、結論として韓国の政治発展には、国会の改革が必要なことが明らかである。
昨年の6月16日、国会に「事前投票廃止、電子開票機使用禁止など選挙制度改善に関する請願」が5万人以上の署名を受け、国会行政安全委員会に回付された。内容は不正選挙疑惑の事前投票を廃止し、選挙当日にのみ投票すること、電子開票を禁止して手で開票すること、国会の中に、投・開票制度改善のための特別委員会設置を要請する内容だった。だが、与野党はこの請願を審議なしに廃棄した。
「4・15不正選挙」(2020年)と戦ってきた市民たちにとっては、過去4年間は数多くの証拠にもかかわらず、不正詐欺選挙という反逆犯罪を処断できなかった痛恨の歳月だ。不法に国会議員になった者たちは法の追及を避け、不正選挙で構成された国会を解散できなかった痛恨の4年だ。
4・15不正選挙捜査を促す剃髪式が先月の13日、龍山の大統領室付近で開催された。全国各地から集まった1415人の中には女性が多かった。共同声明を発表し、切った髪と一緒に大統領室に伝えた。
今回の総選挙で関心を引くのは、韓国政治を堕落させている与野党を牽制、政治を刷新できる第3党が出てくるかどうかだ。


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