山梨で「日韓知事会議」

地域交流・活性化よびかけ
日付: 2023年11月07日 12時30分

 韓日の関係改善は尹錫悦政権の誕生で進んだ。政権交代とコロナ明けが重なり、6年ぶりに「日韓知事会議」の開催が実現。人口の5分の1がソウルに集中する韓国。日本でも首都圏の一極集中は問題だ。韓日各首長の議論に共通する地方活性化を呼びかけた背景と、草の根交流に対する期待と可能性を探る。

少子化・一極集中など共通の課題

 山梨県の「河口湖音楽と森の美術館」では1日、第7回となる「日韓知事会議」が開催された。日本側からは山梨県や宮城県など11府県の知事・副知事が参加し、韓国側からは慶尚北道・全羅北道知事など5自治体の首長が参加した。
「日韓知事会議」は1999年の第1回以降、地方が抱える課題への取り組みを共有し、韓日両国が軸足をそろえて発展を目指していくというのが開催の趣旨だ。前政権下での韓日関係の冷え込みやコロナ禍による開催延期を乗り越えて2017年以来、6年ぶりの開催となった。
今回のテーマは大きく三つ「少子高齢化」「地方創生均衡発展」「韓日の自治体間協力」について、韓日両国の首長が議論を行った。
発起人の一人である伊原木隆太・岡山県知事は、「テーマは、三つがバラバラの案件を扱ったものではなく、相互に関わりの深いものだ」と述べた。
韓日が同じ課題として抱えている首都圏の一極集中が、若者を郷里にとどまらせずに、都市部への就労を目指す傾向につながり、結果として子育てに積極的に取り組めなくなる構造があるという。また、姉妹・友好提携を結ぶ自治体間交流の取り組みも、そのような現状における問題点の解決に向かう動きが見られた。

■地方消滅危機への対策

崔旼鎬・世宗特別自治市長と金鎭台・江原特別自治道知事は、それぞれ新たに認可を経た特別行政自治体の性格について話した。スマートシティー構想を受け入れつつ、新たな産業のテストベッドとして、都市部にのみ集中しない人口の均衡化に向けた取り組みについて説明した。

■人的往来が復活

両国の首長が共通して述べたのが、今年後半から回復しつつある韓日往復便の現況についての言及だった。
2年半ほど途絶えていた、仁川空港と結ぶことの多い各地の日本の空港との往復便が、最近になって次々とコロナ以前の状況に戻りつつある点を、劉正福・仁川広域市長は強調した。
会議の終わりに、「日韓地方政府による新たな協力体制の構築に向けて」と題した共同声明が読み上げられ、25年に第8回を韓国で行うことで合意した。
コロナ明けと重なった韓日の関係改善は、文化の面で両国の若者同士を引き寄せ、大きなうねりとなっている。各自治体で姉妹・友好提携などに基づいて行われている草の根交流の持続・発展は、より大きな波へと広がっていくだろう。

韓国の知事・市長団一行は会議の翌日、首相官邸を表敬訪問した(写真=首相官邸ホームページ)


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