各地で「10月マダン」盛況

地域に根差した特色と魅力も
日付: 2023年10月31日 12時44分

 今年は本格的なコロナ終息に伴い、「4年ぶりの開催」をうたうイベントも多い。記録的な猛暑の影響もあり、秋の到来とともにさまざまな文化行事が開催されている。今年10月に開かれた民団主催の三つのイベントを取りあげ、地域に根差した特色ある祭りの魅力と、今後に向けての課題などを探った。

民団の存在や活動を訴求

 民団各地方本部が主催する秋祭りの名称として「10月マダン」は歴史も伝統も深い。後援に各地域の自治体や日韓親善協会、各地の政治関連団体が名を連ねることも多く、地域の交流を活性化するという側面もある。各地で異なる特色や活動などを、石川・神奈川・千葉で民団の主催したマダンを例に、今秋のイベントを振り返ってみたい。

■石川は金沢ビアテラスで

先月1日、金沢市内のANAクラウンプラザホテル内ビアテラスで「韓日友情祭り~10月マダン」を開催した。当日は石川民団の団員や近隣住民など約120人が参加した。
石川民団主催の10月マダンは「団員と在日同胞また地域住民との交流を深め、韓日間の民間交流と親善・親睦を促進する」ことを目的に、2013年から定期的に開催されている。
当初は野外のバーベキュー場を貸し切り、食材などを持ち込んで行うスタイルだったが、19年からは現在の会場での開催が続いている(20年は中止、21年は民団本部で飲食抜きの文化祭スタイルで開催)。
コロナ明けとなった今回の開催は、団員と参加者の満足度が高く、地域住民から好評のイベントになったと、当日に司会を担当した董又碩・石川民団青壮年会会長は振り返る。
「代表的な交流行事である『10月マダン』の開催はこれからも継続して開催する予定。改善点としては、アトラクションをより韓国の文化が味わえるものにする。韓国と日本の文化と魅力が分かるものにしていきたい。また地域に民団の存在や活動を宣伝し、団員募集や組織の活性化につながるよう、さまざまな仕組みやアイデアを試しながら継続したい」と董会長は話した。

■神奈川はコリア庭園で

先月21・22日、横浜市内の三ツ池公園内コリア庭園で「韓日市民交流マダン~地域における韓日文化交流事業」を開催した。当日は、ステージでのパフォーマンスや韓国飲食屋台の出店、民族衣装の試着などの文化体験も行われ、天候にも恵まれて約2万人の来場者で賑わった。
神奈川民団主催の交流マダンには、友好提携を結ぶ京畿道から民謡歌手・舞踊団・陶磁器職人が派遣され、来場者は本格的な韓国文化を楽しんだ。1994年のコリア庭園開園以来、毎年10月にマダンを開催してきたと李豪哲・神奈川民団総務部長は経緯を説明した。
「民団神奈川では、京畿道と神奈川県の友好の象徴の場であるコリア庭園でマダンを開催することに大きな意義があると考えている。韓日の友好関係を維持・強化していくためにも、このような地域における草の根の民間交流の場が重要だ」と李総務部長は話す。

■千葉は野外ステージで

先月29日、千葉市中央公園で「日韓友好の広場(マダン)in千葉」を開催した。当日、千葉県では朝方まで雨が降り続いていたが、開催に支障が出なかったことを張恒星・千葉民団局長はまず安堵したという。
張局長によると、「正確に数えたわけではないが、通常は600人を収容できる会場に、入れ替わり立ち替わりで来場者が次々に訪れてくれたので、大体1000~1500人は達成できた」と当日の盛況ぶりを語った。
千葉民団主催の友好マダンは98年の開催以来、「10月のマダン」と呼称してきたが、2014年に現在の名称に落ち着いたという。19年の開催以降はコロナによる中止が続いていたため、今年は4年ぶりの開催となった。
当日のスケジュールは、ステージ上で関係者による鏡開きに始まり韓国民謡の公演に終わったが、野外でありながら会場全体に音響が広がり、入口の端から客席を通り抜けて演者らが徐々にステージに向かっていくなど、会場全体を使ってのパフォーマンス性が意識されていた。
さまざまな韓国料理を楽しめる屋台が立ち並んだ飲食ブースの一角で目を引いたのは、千葉県山武郡の芝山醸造で後藤英毅さんが製造販売している「スパークリングマッコリ華本生」だ。韓国伝統の手法にならい、甕(巨大なドラム式)をつかって韓国の麹でつくる無添加生マッコリの製造方式が評価され、一年ほど前に韓国の外交部から(大使館の職員経由で)表彰を受けたと後藤さんは話した。
総じて、各地のマダン開催にはそれぞれの特色と地域交流促進の意義があり、コロナ後はより一層、深みを増した開催者側の努力と工夫が図られていた点に注目される。

石川民団主催マダンで歓迎の挨拶を述べる朴賢沢団長(右)と司会をする董会長

千葉民団主催マダンでのオリニ(児童)合唱団公演


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