韓日国民相互認識調査

両国とも韓日関係「良い」増加~相互の理解不足で「温度差」も
日付: 2023年10月24日 12時16分

 韓国で尹錫悦政権発足以降、日本との首脳外交が再開し、経済・文化などの面でも交流が活発化している。今月は1998年に韓国の金大中大統領と日本の小渕恵三首相の間で21世紀韓日パートナーシップ共同宣言が締結されて25年となり、新たな宣言の制定に期待が高まっている。一方で、韓国と日本で実施された共同世論調査によると、両国国民の間で意識の温度差が浮き彫りになっている。

 韓国のシンクタンク「東アジア研究院」と日本の民間非営利団体「言論NPO」が、韓国人1008人、日本人1000人の2008人を対象に8月と10月にかけて「韓日国民相互認識調査」を実施した。
現状の韓国との関係を「良い」とみる日本人は29%で、昨年の13・7%から倍増。2013年から実施した調査で初めて「良い」が「悪い」を上回った。韓国人も「良い」が昨年の4・9%から増加し、過去最高となったが、12・7%に留まっている。
韓日間での差異について、言論NPOでは「日本人ほどに韓国人の意識は改善しておらず、かなりの温度差がある」としている。工藤泰志代表は「国民間の交流がコロナ禍から十分に回復せず、まだ政府主導の改善の段階であり、国民の行動や交流を伴っていないことを考慮する必要がある。交流が不十分だと、相手国への印象の好転は期待できず、自国メディアの報道に依存することになる。両国の国民感情はまだこのような状況にある」と説明。
政府主導で関係改善が進んでいるが、互いの首脳への印象がそのまま、相手国の印象や現状の韓日関係の評価に大きな影響をもたらしていると分析している。
尹大統領に対する日本人の印象は、「良い」が32・1%、「悪い」が4・1%となっている。これに対して岸田首相に対する韓国人の印象は「良い」が8・5%に過ぎず、「悪い」が36・1%となっている。
韓国人が岸田首相に良い印象を持てない理由で最も大きいのは「日本が韓国を侵略した歴史について正しく反省していない」ことを65・4%が挙げている。
岸田首相は5月の訪韓時に、徴用工問題に関して「当時の厳しい環境の下で、多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と伝えた。  
工藤代表は「日本人の韓国への印象が好転した一方で、韓国人の日本への印象を好転できなかった要因の一例だ。韓国人の気持ちを変えることはできていない」と分析している。
両国政府の政策への意識について日本では、韓国政府の対日政策について「評価する」は34・8%、「評価しない」は19・3%。日本政府の対韓政策については、「評価する」は34・5%、「評価しない」は16・2%と両政府を評価している。一方、韓国では対日政策を「評価する」が21・7%、「評価しない」は32・3%。対韓政策を「評価する」が15・0%、「評価しない」が34・2%だった。
日本人が両国関係の現状と今後に高い期待を寄せていることが分かるが、韓国人は両国の政策に満足していないことが読み取れる。韓日関係改善のためになすべきことで、韓国人の最も多い回答は「歴史認識問題の根本的な解決」で61%だった。
なぜこのような意識のズレが生じているのか。工藤代表は「国民間の交流は未だ十分ではなく、お互いに対する基礎理解も欠けている」と言い切る。例えば、韓国人で現在の日本を「軍国主義」と考えている人は依然として45・4%で最も多く、「民主主義」の国だとみている韓国人は27・9%で昨年の31・5%より減少している。対して日本人は韓国を「民主主義」の国とみる人が50・3%で最も多く、昨年の41・4%から大幅に拡大している。
工藤代表は「さまざまな対話や交流を広げ理解を深めない限り、未来に向かって土台が固まらない。今回の調査結果は乗り越えるべき課題を改めて教えている」と指摘している。


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