特別永住者の減少続く

同胞の結束と伝統維持に苦慮
日付: 2023年10月24日 12時08分

 在日韓国人など特別永住者の減少に歯止めがかからない。かつて在留外国人の過半数を占めていた特別永住者数は2022年末に1割を下回り、漸減傾向にある。特別永住者の高齢化による自然減と少子化、日本人や他国籍者との婚姻、帰化などが主な要因で、今後もこの傾向は続くと思われる。民団では時代の流れとして受け止めつつも、同胞の結束と伝統の維持に頭を悩ませている。

 出入国在留管理庁によると、6月末時点の在留外国人数は322万3858人で昨年末から14万8645人増え、過去最多を更新した。このうち韓国人は41万1748人で、中国の78万8495人、ベトナムの52万154人に続き、国籍・地域別では3位となっている。在留資格別では、「永住者」が88万178人と最も多く、「技能実習」が35万8159人、エンジニアや経理など「技術・人文知識・国際業務」の34万6116人、「留学」の30万5916人と続き、ようやく「特別永住者」が28万4807人で5番目に登場する。
2023年1~6月期の新規入国者数は1015万4249人で、前年同期の38万8893人と比べ約26倍に増加した。22年3月以降、新型コロナウイルスの水際対策が段階的に緩和されたことを反映した。コロナ禍前の19年1~6月期の1498万5170人の7割弱の水準に回復した。在留資格別では、「短期滞在」が986万2199人と最も多く、全体の97%を占めた。国・地域別では、韓国が305万4547人でトップ。以下、台湾が174万3953人、米国が95万2074人で続いている。
民団によると、1940年から解放までの5年間、生活苦と徴用などのため100万~150万人が渡日を余儀なくされた。解放後は帰国を急いだため、1946年には在留者は50万~60万人に激減する。解放後に在留者数が最も多くなるのは1980年代中盤から90年代初めまでで、91年には69万3050人でピークとなった。
2000年代に入ると、特別永住者が年を追うごとに減少し、20年間で4割減となった。それに伴い、在日同胞の総数も3割減っている。一方で永住者は倍増し、新定住者(ニューカマー)が急速に存在感を高めている。
民団中央の李清鍵組織局長は「特別永住者が減って、新定住者が増えていく流れは変えようがない。在日同胞にとって魅力ある組織をつくるとともに、これまで民団との関わりが希薄だった若年層にもアピールして活性化を図っていく」と構想を語っている。


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