朝鮮人労働者の新史料発見

今後の調査・研究が必要
日付: 2023年10月10日 12時57分

 日本記者クラブ大会議室で5日、歴史認識問題研究会(西岡力会長)の長谷亮介研究員による「日曹天塩炭鉱『稼働成績並賃金収支明細表』について」と題する会見が行われた。
長谷研究員が北海道博物館で発見した表題の史料によると、1944年5月から45年6月まで、当時の朝鮮人労働者に対して好待遇といえる給与や賞与が、日曹天塩炭鉱から働き手の郷里の面長宛てに毎月届けられていたという。
また、植民地朝鮮に残してきた妻が体調不良のため帰国を願い出れば受理されたという。その働き手から日曹天塩炭鉱に対して出された感謝を伝える手紙などを根拠として、通説とされている当時の「奴隷労働」説に対し、長谷研究員は疑問を投げかけた。
一方で、日曹天塩が良心的な中小企業であり、朝鮮人労働者に対する公正な対応を行っていたとしても、「奴隷労働」説という時代としての全体像に反駁できるかという点については疑義が残る。同様の史料を多く発見し、今後の調査を待たねばならない。
西岡会長は「アカデミズムの立場から、継続研究に会として取り組んでいく」と述べた。


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