選挙で懸念される敵対勢力・外国の介入

省庁横断のTF(タスクフォース)発足へ
日付: 2023年10月10日 12時43分

 韓国政府は、世論操作防止策の一環として「省庁横断タスクフォース(TF)」を発足させる。韓悳洙首相は4日、杭州アジア大会の応援サイトで発生した世論操作事件に対して強い措置を講じるよう促し、関係各部署にTF(作業部会)の設置を指示した。

(ソウル=李民晧)

 

 事の発端は、1日に行われた杭州アジア大会のサッカー男子の準々決勝、韓国対中国の試合だ。
この時、ポータルサイト「Daum(ダウム)」の応援特設ページでは「中国チームを応援する」にクリックで票を投じた人の割合が異常に高い値を示すという現象が起きた。Daumは韓国人ユーザーをメインとして運営しているポータルサイトで、韓中戦において中国を応援する割合が韓国を上回ったことはこれまで一度もない。
この件に対し、韓国放送通信委員会はDaumの当該ページでクリックされた3130万件(確認済みIP2294万件)の分析に着手。その結果、「中国チームを応援する」に投じた数は93・2%の2919万件に上った。
一方で、「韓国チームを応援する」に投じた数は6・8%の211万件に留まっていたことが明らかになった。
放送通信委の調べにより、書き込みのうち約50%はオランダを、約30%は日本を経由していたこともわかった。手口としては、海外の組織が仮想プライバシーネットワーク(VPN)を悪用し、韓国人ユーザーを詐称して迂回接続するパターンや、マクロプログラム(自動反復入力)を利用して中国を応援する書き込みを大量に生成したパターンなどが判明した。Daumを運営するカカオ社側は「マクロプログラムを利用して二つのIPが生成されたのは極めて異例」とコメントした。 

頻発する中国誘導の
組織的な世論操作疑惑


国民の力・国会科学技術情報放送通信委員会に所属するパク・ソンジュン議員は3日、国会で記者会見を開き、本件に向けた対策を講じるよう求めた。パク議員は「韓国のポータルサイトに対し、中国の特定勢力による介入があったものと見られる。さらには北韓による介入も疑われる状況だ。ポータルサイトは、中国などの海外IPで接続する利用者の書き込みに対し、国籍の表示や書き込みサービスの閉鎖など、対策を講じる必要がある」と主張した。
これは、来年4月に控えた国会議員総選挙など各国政選挙で、外国及び敵対勢力による世論操作が可能となることを懸念したものだ。与党・民の力は2020年の第20代国会議員総選挙で、中国人と在中同胞(朝鮮族)らが世論操作を行ったという「チャイナゲート疑惑」を提起していた。また今回、物議を醸したポータルサイトのDaumユーザーは、野党支持者が多数を占めている。
世論操作において、中国がかかわったと疑われるケースは今回が初めてではない。18年2月の平昌五輪では「ショートトラックで中国選手が韓国選手を押しのけるという反則を犯し失格した」という記事に対し、中国語で6万件以上ものコメントが書かれていた。
また、20年の総選挙では各世論調査で中国による介入疑惑が取り沙汰されていた。特に中国は、トロール(ロシアのインターネット世論操作組織)をしのぐ勢いで組織的に世論操作を行っているとの情報もある。
そのようななか台湾は昨年、海外敵対勢力の工作に関与した者に対し5年間の懲役刑を科す「反浸透法」を制定。これにより、中国が世論を操作したフェイクニュース1700件が摘発された。厳しい国際情勢のなか、罰則の伴う法制化の必要性については韓国も他人事ではないだろう。

杭州アジア大会の男子サッカー韓中戦、韓国ダウムの応援サイトで中国の応援が93%を占めた

 

 


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