在日韓国人被爆者を招待

尹大統領 「韓日関係に最善尽くす」
日付: 2023年10月03日 12時24分

 韓国の旧盆である秋夕の9月29日、広島の在日韓国人被爆者ら42人が韓国政府の招待で訪韓し、ソウルの大統領府迎賓館で尹錫悦大統領らと昼食を共にした。韓国国内の被爆者ら43人も出席した。尹大統領が5月に広島を訪問し、岸田文雄首相とともに「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」を歴代大統領として初めて訪問。そのとき在日韓国人被爆者と面会し、韓国へ招待するという約束を実現した。

 尹大統領は歓迎の辞で「政府がみなさんを故郷にお迎えするまでに、78年という時間がかかった。遅すぎたことを改めてお詫びする。みなさんがこれまで経験した悲しみが、少しでも慰めになることを願っている」とねぎらい、広島での慰霊碑参拝について触れ「遠く離れた異郷で戦争の惨禍を経験した原爆犠牲者を追悼し、平和と繁栄の未来をともに切り開いていくことを誓った。韓国政府は日本と協力しながら、世界の平和と繁栄を推進していく」と誓った。そのうえで「韓日関係をより未来志向に発展させていくために、最善を尽くす。韓国政府は国際社会に役割と責任を果たすというグローバル中枢国家ビジョンを通じて、みなさんと子孫が誇りを持てるようにする」と国家ビジョンを示した。
招待者を代表して、広島の韓国原爆被害者対策特別委員会の権俊五委員長は、尹大統領の広島訪問について「そのときの尹大統領の言葉を聞いて、78年の悲しみと苦しみが消えるのを感じた。出席者は涙を流していた」とあいさつ。両首脳の慰霊碑参拝について「日本人も韓日関係に新しい時代が到来したと言っている。私たちと私たちの子孫は、過去とは違う良い環境で生きていけるという希望を持つようになった。韓日関係が良くなり、祖国が発展することを願っている」と祈願した。一方で「核兵器のない世界を願っているが、いまだ達成されていない。広島に帰っても日本政府の平和、非核化の取り組みに関心を持ち、支持と支援を続ける」と誓いを新たにした。
長崎の被爆者も招待されたが、対象者が81~97歳と高齢であり、体調が不十分だったり、日程の不都合などのため、参加者はいなかった。民団長崎の金相進事務局長は「招待者はみな感謝していたが、体調不良などで参加できず残念がっていた。尹大統領には機会があれば、長崎の慰霊碑にも参拝してくれるとうれしい」と話している。

 


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