住宅供給増へ政府が追加対策

来年までに100万戸計画 
日付: 2023年10月03日 12時27分

 韓国政府は9月26日、政府ソウル庁舎で不動産関係閣僚会議を開き、住宅供給を拡大するための対策を発表した。第3期新都市と首都圏の新規宅地に、公共住宅5万戸を追加供給するとともに、不動産プロジェクトファイナンス(PF)融資の調達に困難を来している建設会社のため、PF保証規模も増やす。ソウル首都圏では常に住宅が不足しており、需給の改善に向けて動き出した。

 同席上で発表された不動産対策「国民住居安定のための住宅供給活性化案(供給対策)」の骨子は以下のとおり。
(1)第3期新都市の物量拡充をはじめとする公共住宅供給の拡大(2)プロジェクトファイナンス(PF)条件と規制改善を通じた民間供給の活性化(3)短期供給が可能な非アパート供給の拡大誘導など。
公共部門では、第3期新都市の住宅供給規模を既存の17万6000世帯から3万世帯以上、追加する。第3期新都市の容積率を高め、公園緑地のような非住宅用地の一部を住宅用地に転換する。民間に売却したが、事業の進行が遅延している公共宅地は、韓国土地住宅公社(LH)などの公共事業に転換し、公共住宅を5000戸前後、供給する。
民間住宅供給活性化対策としては、PF融資保証を拡大する案が盛り込まれた。当初、今年は住宅都市保証公社10兆ウォン、住宅金融公社5兆ウォンなど計15兆ウォン規模のPF保証を計上していたが、25兆ウォン規模に見直した。審査基準も緩和し、事業資金調達に苦労する民間事業者が供給に積極的に取り組むことを可能とした。
政府は今回の対策で今年の目標である47万戸供給に加え、来年までに100万戸の供給を達成する計画だとした。
ソウル首都圏は、韓国の人口と経済の半分以上を占める。良質な首都圏住宅は常に供給不足で、また国内最優良資産ともいえる。不動産投資は株式投資などよりもリスクが低く、収益率は高い。
こういったなか、文在寅政権下で不動産価格が高騰した。尹錫悦政権発足後に行った不動産対策により昨年度は下降傾向となったが、今年に入り反転、首都圏を中心に再び価格が上昇している。
これまでも歴代政権下でさまざまな不動産対策が行われてきた。投資家は不動産規制がまた変わるだろうと予想して、最適な投資機会を模索する。政策に対応した形で、再び不動産投資を開始するなどイタチごっこだったともいえる。今後、生活の場としての住宅が十分に供給されても、首都圏中心部の物件の価格はさほど下がらないのではとの見方もある。
一方で、現在もっとも懸念されるのは増え続ける家計負債の問題だ。
住宅購入のための融資の返済が金利上昇から滞る懸念がある。
9月1日時点での韓国5大銀行(国民、新韓、ハナ、ウリィ、農協)の家計融資残高は1兆5912億ウォン。カカオバンクなどのインターネット専門銀行が不動産融資を拡大しており、総額はさらに大きくなると考えられる。
米欧など主要国の通貨政策の緊縮基調が長引いていることから、韓国の銀行の高金利も長期化するだろうと見られている。

 


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