新大久保の土産品開発へ

新宿韓国商人連合会 ブランド確立狙う
日付: 2023年09月26日 12時37分

 東京・新宿副都心に隣接し、韓国人や中国人のほか、ベトナム、ネパールなど多くの外国人が居住し、店舗を営む新大久保で、地域の特性を生かした観光客向けの土産品開発が進んでいる。食べ物やグッズなどを製造するため工場と交渉するなど、商品化に向けて試行錯誤している。具体的に形のあるものを通じてより多くの人に、国際色豊かでにぎやかな街をアピールすることを狙う。

地域に根差した話題作り

 開発の中心となっているのは新宿韓国商人連合会。申大永主席副会長は「『コリアタウン』として全国的に有名になった新大久保をブランドとして根付かせ、形のあるものを世に出すことで話題にしてもらいたい」ときっかけを語る。
同連合会は、新大久保にキャンパスを構える桜美林大学ビジネスマネジメント学群の学生とともに商品を企画した。

商品化へ工場と交渉

 新大久保で大勢の人が食べ歩きをしている人気のチーズハットグ、ホットク、ヤンニョムチキンのほか、ジャージャー麺などを基にしたオリジナル商品がアイデアとして挙がり、商品化に向けて工場と交渉している。
また新大久保周辺は江戸時代は下級武士の街で、副業としてツツジ栽培がさかんだったことから、ツツジを取り入れるほか、新大久保商店街振興組合が愛称とした「天使のすむまち」の天使を表現したキャラクターをあしらった商品などのアイデアも出ている。

地元大学生とも協力

 Tシャツ、マグカップ、バッグなどの雑貨・グッズの商品計画もあるが申主席副会長は「版権の問題があり、簡単ではない」という。
観光学が専門の桜美林大学の山口有次教授は「学生にとっては学習機会となり、店舗は主要顧客である若者のアイデアを収集することができる。土産品が発売されれば、購入者は新大久保を話題にし、根強いファンになってもらえる」と波及効果について語る。

各自に特色ある商品

 日本には各地それぞれに個性的な土産品がある。札幌の「白い恋人」、仙台の「萩の月」、東京の「東京ばな奈」、浜松の「うなぎパイ」、伊勢の「赤福餅」、京都の「八ツ橋」、福岡の「博多通りもん」など有名どころだけを挙げても、バラエティーに富んでいる。それぞれの商品は土産の定番となり、各地域のイメージを形作り、地域ブランド向上に貢献している。「新大久保らしい」土産品が加われば、さらに地域の魅力を強化することにつながる。
矢野経済研究所によると、スーパー、コンビニ、量販店などで販売されている菓子の市場規模は2023年度は前年度比1・9%増の1兆9987億円を予想し、22年度に続く2年連続の増加を見込んでいる。
同研究所では「原材料費高騰による価格改定の浸透と、訪日外国人客による土産品需要の回復による上乗せが要因」と分析している。

魅力的な土産品待望

 観光庁がまとめた22年の日本人国内旅行消費額は前年比87・2%増の17兆1929億円。23年4~6月期の訪日外国人旅行消費額は19年同期比4・9%減の1兆2052億円と急回復している。
コロナが5類に移行し、人々の往来が回復している今こそ、新大久保を象徴する魅力的な土産品の市場デビューが待望される。

 


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