深刻な公社の経営不振

電気・ガス・水道で赤字拡大
日付: 2023年09月26日 10時33分

 文在寅政権下で行われた数々の悪政の結果、多くの経済課題を突きつけられている尹錫悦政権だが、公社の赤字拡大という問題も危険水域へと浮上してきた。特にウクライナ戦争の余波を受けた韓国電力公社や韓国ガス公社の業績不振は深刻で、早急な対策が求められる待ったなしの状況となってきた。

 韓国電力公社の負債が史上初めて200兆ウォンを超えた。
韓電の半期報告書によると、6月末の連結の負債総額は201兆4000億ウォンだった。ウクライナ戦争の影響を受け、国際エネルギー価格が高騰したことが直接的な原因だが、2020年末に132兆5000億ウォン、21年は145兆8000億ウォン、22年192兆8000億ウォンの負債を計上するなど、以前から収益構造に問題があった。
現在、負債総額は国内上場企業で最も多く、韓電が支払う利子は1日あたり70億ウォンを超えている。負債比率は574・09%に達する。資金調達は公債(韓電債)の発行頼みとなるが、韓国電力公社法により発行可能残高が制限されており、発行余剰額も十分ではない状態だ。
韓電は電気料金の引き上げや国際エネルギー価格の下落などによって収益構造が改善され、第3四半期(7~9月)には10四半期ぶりに黒字転換するとみられるが、第4四半期(10~12月)には再び赤字となり、今年約7兆ウォンの営業損失を記録すると見込まれている。
韓電の財務構造正常化のため、電気料金の追加引き上げの必要性が指摘されているが、それだけでは抜本的な解決には至らないという声も多い。韓電自ら社内構造を変えるための自助努力が必要であるとの批判だ。
こういった背景のなか、韓電は18日の臨時株主総会で、元国会議員のキム・ドンチョル氏を新社長に選出したと発表した。同社社長に政治家出身者が選出されるのは初めてのこと。
キム社長は20日、「直面している絶対的な危機を克服する糸口を見つけなければならない」とし、「ウォールーム」(非常経営状況室)と名付けた社長室に簡易ベッドを置き、24時間本社を離れることなく、業務を推進すると語ったと伝えられる。
一方で、公社の経営不振は韓電にとどまらない。
韓国ガス公社も昨年、民需用未収金(発電燃料の買入単価が販売単価より高く被る損失金)が8兆6000億ウォンに増加し、負債比率が前年比121ポイント拡大し、500%にまで膨らんでいる。
交通関連公社も赤字が累積し悲鳴を上げている。
韓国鉄道公社(KORAIL)は今年から25年までの3年間で1兆2000億ウォンを上回る当期純損失を出す見通しとなっている。今後5年間の利子費用だけで1兆8000億ウォンと予想され、一日の利子費用だけで10億ウォンになるとみられている。
ソウル交通公社の負債も増加を続けており、22年時点で累積赤字は17兆6808億ウォンに達する。
ともに民間企業ならデフォルト騒動を起こしているような危機的状況だ。
国のインフラを担う企業の財政基盤が傾いており、尹大統領は難しい課題をつきつけられている。

 

 


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