中国の地殻変動 アサド大統領を国賓級で歓待

中国・シリアが「戦略的パートナー宣言」
日付: 2023年09月26日 10時03分

 中国の杭州で開催中(9月22日~10月8日)のアジア競技大会はスポーツだけでなく、1年7カ月間のウクライナ戦争によって変化した国際秩序、特に中東地域で劇的な反転を見せている。
シリアのバッシャール・アル・アサド大統領が21日、杭州を訪ね、国賓格の歓迎を受けた。アサド大統領の訪中は2004年以来だ。
習近平主席は22日~23日、杭州を訪問、アジア大会の開幕式に参加、アサド大統領を含む外国指導者たちを歓迎し会談した。習近平主席とアサド大統領は首脳会談(22日)後、共同声明を通じて両国関係を「戦略的パートナー」と宣言した。中国はシリアと修交(1956年)後、ロシアやイランなどと共にアサド政権と友好関係を維持してきた。
アサド大統領は2011年の「アラブの春」後、シリア内戦が勃発するや反政府勢力を厳しく弾圧したと、国際社会から「虐殺者」と罵倒され、22カ国で構成されたアラブ連盟からも追い出された。アサドを独裁者と批判はできるが、シリア国民の絶対多数は彼を支持する。西欧がアサド政権を武装反乱勢力を通じ暴力的に崩壊させれば、シリアはカダフィ除去後のリビアのように無政府状態の地獄の状況が懸念される。
実際にシリアで住民を虐殺してきたのも、米・英などが募集し、支援してきたISやアルカイダなどの武装勢力である。
国連の化学兵器禁止機関(OPCW)も、アサド大統領が化学兵器で自国民を虐殺したとの報告書を採択した。ところがEUの議員らはOPCWの報告書が操作されたことを糾明した。事実、当時からシリアでの化学兵器使用は、反軍事勢力とその背後(米、英など)の計略という主張が提起された。
ウクライナ戦争を契機に、グローバルサウスは、米・英の情報機関を中心に展開してきた西欧の偽プロパガンダに怒り、これまで西欧が破壊してきた中東やアフリカの国々への支援に転じた。このような変化の中、西欧のシリア破壊に同調(支援)したアラブの諸国がシリアの救援・復旧に出たことから、アサド大統領は今年5月、アラブ連盟首脳会議に招待された。
中東やアフリカに対する西欧の影響力と分断支配は終わりつつある。イラク首相もロシアを訪問する予定だ。ロシアのプーチン大統領が来月、北京を訪問、習近平主席と会談する見通しだ。マクロン大統領は24日、ニジェールからフランス大使と軍の撤収を発表した。
西欧諸国が事実上、敗戦したともいえるウクライナへの武器支援には消極的な姿勢に変わったのに対し、韓国は尹・ゼレンスキー合意により地雷除去戦車2台をウクライナに提供、戦後再建への参加に意欲的だ。


閉じる