文在寅前大統領は19日、ソウルを訪れた。「9・19平壌共同宣言5周年記念行事」に出席するためだ。同宣言は、2018年に行われた南北首脳会談で金正恩と自身が締結したものだ。大統領退任後、初のソウル訪問。それだけ思い入れがあったのだろう▼このときの付属合意書で「南北軍事合意」が締結された。南北間の一切の敵対行為を禁止するというものだったが、その後、北韓は何を行ってきただろうか。締結翌々月には西海、昌麟島一帯の海上緩衝区域で海岸砲を撃ち、2020年には開城の南北共同連絡事務所を爆破、さらにはミサイル実験を繰り返すなど、軍事的挑発は枚挙にいとまがない▼だが、文在寅氏は記念式典で「破綻した南北関係を考えると複雑な気持ちになること、この上ない」として現政権の対北政策を批判。これまでの北韓の軍事行動を、現政権に責任転嫁し、自身の政権下で行われたことに関しては、自画自賛を繰り返した▼いま、文政権時に行われた「不正」が疑われる事件など、多くの解明すべき疑惑が浮上している。統計操作、公文書偽造などなど。一方、文在寅と同様に多くの不正疑惑を抱える李在明・共に民主党代表の逮捕同意案が国会で可決した。共に民主党が多数議席を占めるため否決されると思われていたが、予想外の結果となった▼今後は裁判所の判断に委ねられるが、徹底的に真実を究明すべきだろう。そして文前大統領の疑惑も同様に、追及されるべきだ。遠からず真実が明らかになる日を待ちたい。