平壌の指令で「統進党」化する野党

総選挙に向けての「混沌」と「合従連衡」
日付: 2023年09月26日 09時56分

 半年後に総選挙を迎えるなか、韓国政治が嵐の中に入った。野党代表の李在明に対する2次逮捕同意案が21日の午後、国会で可決された。李在明の逮捕に党内で29人から39人が賛成したことに対して、朴洸オン院内代表が引責辞任した。李在明党は、裏切り者探しを開始した。そして、獄中でも李在明が代表として総選の公認権を行使すべきだという反知性の暴走が、党代表の欠位で非常対策委員会を構成せねばならないという常識を圧倒している。李在明は26日、拘束前被疑者審問(令状実質審査)を受ける。法廷出席に先立ち、李在明派は国会議員161人と党役員や議員補佐陣など764人が署名した令状棄却嘆願書を提出、判事を圧迫(オンライン署名も90万人と主張)している。

 

 李在明党が分裂するのは、政党としてアイデンティティーを共有できないからだ。
反李在明グループは、総選挙で党の公認が受けられないだろう。逮捕同意案の可決、党分裂は反対派の粛清を公言した李在明と李在明派の自業自得だ。李在明は自分に不利ならば側近たちも容赦なく切る人物だ。李在明に関連するスキャンダルで関係者5人が自殺したほどだ。
来年の総選挙で公認が受けられない、反李在明と分類された議員たちは、常識を否定する反知性集団の李在明側との決別に適切な名分とタイミングだけを睨んできた。
李在明は6月、自ら不逮捕特権放棄を宣言したが、李在明派は党規を変え刑事被疑者として有罪になっても党職に残れるようにした。これは法治と民主政治制度を否定するものだ。李在明の20日間の”偽の断食”も同情票を決定的になくすミスだった。
李側は逮捕と起訴を政治弾圧と強弁するが、李在明の容疑は、側近など関連者がすべてを陳述し、証拠が確保された事案だ。一部はすでに裁判を通じて確認された。李在明は偽証まで教唆した不良犯だ。逮捕の可否ではなく起訴は決まっている。
現在、党を掌握した李在明の核心側近は、従北勢力である京畿道東部連合出身で、内乱扇動により服役した李石基と共に、2014年12月解散された統進党を主導した人物たちだ。
李在明の隠密な資金管理に関与した側近たちは拘束されたが、「逮捕同意案に賛成する議員たちは政治生命を断つ」と脅迫した姜渭遠など、拘束されていない側近たちも韓総連(利敵団体)と京畿道東部連合出身など骨髄までの従北だ。統進党を「進歩党」に変身させるにはスパイの補佐官を置いた尹美香も貢献した。
この従北派が主導する党に反発があるのは当然だ。「共に民主党」内で実権はないが、反共野党の伝統を継ぐ人々には「従北勢力」と「組織犯罪勢力」を政治基盤とする李在明についていくわけにはいかないという信念と事情がある。
彼らは総選挙前に新しい政党として活路を求める立場だ。与党「国民の力」の「外縁拡張」の選挙戦略と衝突するが、合従連衡の可能性も開かれている。
李在明党も、反李在明派が離れた後も一糸乱れずに動くことができるか疑問だ。令状棄却嘆願に国会議員はやむなく署名したが、議員補佐陣は1512人中3分の1にも満たない428人だけ署名した。もちろん、尹錫悦政権を破綻させる目標は一致している。
「国民の力」は、野党の一部を迎え入れるなど選挙工学に没頭している。与党は外縁を拡大すれば、右派が求める不正選挙を剔抉しなくても、現行選挙システムで勝利すると信じている。今では尹大統領は公認権を党に委任すると述べた。
総選挙まで半年、不正選挙を問題にせず、有権者でなく党が候補を決めることで与野党が一致している。総選と同時に国民投票を推進する改憲変数もある。何が起きてもおかしくない。   

 


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