韓国24年度予算2・8%増に抑制

文政権下の拡張財政を是正
日付: 2023年09月05日 10時16分

 2024年度の政府予算案が閣議決定した。文在寅政権下で国家予算は膨れあがり、結果、17年末に660兆2000億ウォンだった国家債務が5年で400兆ウォン以上も増えた。尹錫悦政権では緊縮財政に舵を切り、前年比2・8%の増額となった。

 

 韓国政府は8月29日、来年度(1~12月)予算案を閣議決定した。歳出総額は656兆9000億ウォンで今年の本予算に比べ2・8%の増額となる。
文在寅政権下では継続して拡張財政が行われたが、尹錫悦政権は緊縮財政へと転換している。歳出の増加率は、尹政権が初めて編成した23年度予算の増加率5・1%を大幅に下回り、05年以降で最も上昇率が低い。文政権下(18~22年)での政府予算案の歳出増加率は年7~9%台に上っていた。
17年末に660兆2000億ウォンだった韓国の国家債務は、文在寅政権下で拡大、昨年末には1068兆8000億ウォンに達した。5年間で400兆ウォン以上も増えたことに対し、IMFは新型コロナ期間に国家債務が拡大したことも含め、今後の危機状況に備えるため財政の余力を再構築する必要があると警告している。
現在、ウクライナ戦争収束の目処が立たず、世界的に景気が鈍化する状況だ。企業の業績が悪化するなか、税収も大幅に縮小すると見られている。
24年度の歳入総額は前年比2・2%減の612兆1000億ウォンと予測されている。基金などの国税外収入は19兆5000億ウォン増加するが、国税収入が33兆1000億ウォン減少。歳入総額が歳出総額を45兆ウォン程度下回り、財政収支は悪化する見通しだ。
管理財政収支の赤字額は23年度見込み額の58兆2000億ウォンから92兆ウォンにまで増え、国内総生産(GDP)比の赤字比率は2・6%から3・9%へ1・3ポイント上昇。政府債務は61兆8000億ウォン増加する。
尹大統領は予算案の編成にあたり23兆ウォン規模の支出の構造調整を断行し、「全ての財政事業をゼロベースで再検討し、政策補助金予算、(研究開発予算など)利権カルテル予算を果敢に削った」とし、支出の四つのキーワードとして(1)弱者福祉(2)未来準備(3)雇用創出(4)国の本質機能の遂行を挙げた。
こういったなか、来春の総選挙を見据え政府予算の増額を求める声もある。
これに対し、尹大統領は「国債発行による支出の拡大は未来の世代に財政負担を押しつけ、国の信用度を落とすことにつながり、企業の活動や経済全般に困難をもたらす」と述べ、「選挙の票を買う目的の予算を排除し、節約した財源で庶民や社会的弱者を一層手厚く支援する」とした。
尹政権は発足以降、経済体質を市場中心、民間主導に変えていくとし、利権カルテルの解体に取り組んでいる。さらに民間投資を妨げるキラー規制を撤廃し、市場に資金が流れるような金融システム整備を推進している。
政府予算案は今月初めに国会に提出、各常任委員会と予算決算特別委員会の審議を経て12月に確定する。

 

 


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