韓日米首脳会談で新たな歴史

韓日、軍事同盟へ発展なるか
日付: 2023年08月29日 13時01分

 8月18日、韓日米3カ国の首脳は「共同声明(Joint Statement)」を発表した。3カ国の首脳は同日の記者会見で同じ言葉を繰り返した。『新たな歴史が始まった』。つまり、「韓日米は今後、いや応なく同じ船に乗り、同じ方向に進む」という宣言とも受け取れる。(ソウル=李民晧)

 3カ国の脅威に対し
て迅速に協議


尹錫悦大統領、岸田文雄首相、ジョー・バイデン大統領の3首脳は18日、米大統領の保養地であるワシントン郊外の「キャンプデービッド」で開かれた首脳会談に出席した。3カ国の首脳会談が「キャンプデービッド」で開かれたのは今回が初めてだ。中国と北韓に向けた軍事同盟宣言を、米大統領の別荘で行ったことは「歴史的瞬間」を意味する試みだといえる。
目指すところは明らかだ。韓日米の3カ国が同盟を組み、多角度的に協力しつつ中国をけん制する。共同声明の中で、中国に対し「インド・太平洋地域において、危険かつ攻撃的行動を示す国」と定義したからだ。
さらに、その文言は文書として採択された。「韓日米協議の公約」では、冒頭に「3カ国の首脳が挑戦・挑発、そして脅威にさらされた場合は速やかに協議する。情報を共有し、メッセージを同調させ(同じメッセージを出し)、措置を講じる」と述べている。
一方で逃げ道も加えられている。「韓米相互防衛条約に代替されるものではない」。つまり韓米両国はすでに軍事同盟にあり、日本も米国と安全保障条約を結んでいる。したがって今回、韓日米が合意した公約は「義務」ではなく「約束」であるという解釈ができる。
バイデン米大統領は、記者会見で「最高に幸せだ」と述べた。米国の欧州同盟である「NATO」同様、韓国と日本が北東アジア版の同盟となったことを歓迎しているものと解釈される。
今回のサミットは中国と北韓に向けた警告である。韓米日3カ国は安保協力という名の下、3カ国のいずれの国が威嚇や攻撃を受けた場合でも座視しないという宣言でもあるからだ。

韓日軍事協力、加速化なるか


今回のサミットは一方、3カ国の関係性において「ウイークポイント」となってきた韓日関係の変化が促されるものとみられる。韓日はこれまで、過去の歴史問題で葛藤が続き、近しくも困難な関係にあった。
慰安婦問題についても、朴槿惠政権時の合意が文在寅政権によって反故にされてしまった。今年3月、尹錫悦大統領が歴史問題に大勇をふるい韓日関係改善のモメンタムを示したことで、両国間の葛藤はいったん落ち着き新たな局面へと進んだ。
その後、韓米、韓日、日米と相次ぐ接触がみられ、今回の「キャンプデービッド」3カ国サミットがその集大成となった。これまで、中国と北韓は、韓日間の敵対意識や経済的葛藤を誘発することで韓日米の連携を弱体化させようと試みてきたが、今回のサミットによりその試みが無力化され、今後同様の展開を図ることは困難となった。
では実際、韓日両国は軍事的な連帯へと発展するのだろうか。それを紐解くうえで注目すべきなのが、先日の8・15光復節における尹大統領の祝辞だ。
具体的には「日本が国連司令部に提供している後方基地7地点の役割は、北韓の南侵を阻止する最大の抑止力である」というものだ。これは「韓米同盟に準じて韓日関係を継続させていきたい」との意味が含まれている可能性がある。今後、韓日間の軍事交流がいかにして行われるのか、それが国同士の協定へと発展していくのか。我々はその推移を注意深く見守っていく必要がある。 

 国民に向けた大統領の報告

尹錫悦大統領は21日、韓日米サミットの成果について国民に報告した。尹大統領は龍山大統領室で閣議を主宰し「今後、韓日米3カ国協力体はオーカス(AUKUS:豪州、英国、米国の安保協議体)、クアッド(Quad:米国、豪州、印、日本の安保協議体)などと共に、域内の平和と繁栄を促進させる強固な協力体として拡大発展していく」と述べた。加えて「国民の皆さんが3カ国協力の恩恵と利益を実感できるよう、さらに拡大していく」と強調した。

 

18日、米メリーランド州キャンプデービッドで会談を行った(左から)尹錫悦大統領、バイデン大統領、岸田首相
(写真提供=大統領室)


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