新解釈日本書記「続」応神 幻の大和朝廷 第9回

日付: 2023年07月25日 12時28分

 男神アマテル(天照神)を奉祭した集団は、九州糸島半島や出雲、伯耆、但馬、丹後、若狭などの山陰海岸に展開された新羅(伽耶)系山陰王朝であり、女神アマテラス(天照大神)を奉祭したのは藤原不比等らの集団ということになる。換言すれば、藤原不比等らの視点は、西暦400年前後に樹立された百済系大和王朝の立ち位置であったということになる。
アマテラスは、7世紀に藤原不比等らの策略によって宮中に奉祭され、伊勢神宮にも奉祭されて、女神にされたということだが、それ以前にも宮中には奉祭されていた太陽神があって、その時の名称は定かではないのだが、「天照神」あるいは「天日神」と称される男神であった。具体的にいえば、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊という神名で、ニギハヤヒ(饒速日)=ホアカリ(天火明)という人(神)格だ。
換言すれば、400年以後の女神アマテラスと400年以前の男神アマテラスとに峻別する必要があるということだ。400年というのは、高句麗広開土王に撃破された沸流百済の王族が倭地に亡命して、応神亡命政権(百済系大和王朝)を樹立した時期であり、女神アマテラスはその百済系大和王朝の始祖として正当化するために創作された人(神)格と思われる。
その当時の倭地にはすでに、出雲王朝や丹後王朝など新羅系山陰王朝が各地に展開されていて、確固たる地盤を有していたのだが、それらの勢力を納得させるためには、大和の地に悠久の昔から、王朝が存在していたかのごとく見せかけるデッチ上げの”史実”が必要だった。それゆえ、女神アマテラスが太古の昔から倭地の主人公であり、それがために実際の主人公であった男神アマテラスにとって替わったとみられる。

ヤマタノオロチは砂鉄業者ではなく産銅種族


ヤマタノオロチ(八岐大蛇)は、各地の神楽で演じられる人気メニューだが、その巨大な蛇体が、怪獣好みとあいまって好奇心をあおるようだ。それはそれで面白いのだが、さて、ヤマタノオロチの実体となるとはなはだ曖昧だ。
『古事記』や『日本書紀』に記されているように、ヤマタノオロチが乙女を要求したと、本当にそう思う人がいたとすれば、実に純真というほかない。ヤマタノオロチが酒を飲んだということも同様だ。
スサノオが、ヤマタノオロチを切り殺し、尾から剣が出てきたというのも不思議なことだし、その不思議を史実と受け止め、信じ込んでいる人がいるとすれば、それまた何をかいわんや、というほかないのだ。
そのようなヤマタノオロチ伝説だが、いろいろな書を読み解いてみると、とんでもない結論になってしまった。「ヤマタノオロチは砂鉄業者」というのが通説だが、ヤマタノオロチは砂鉄業者ではなく産銅種族であったということだ。


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