都内で「TOPIKフォーラム」開催

他言語テストとの比較で講演
日付: 2023年07月18日 12時32分

 15日、都内で2回目となる「TОPIK(韓国語能力試験)フォーラム」が開催された。
テーマとして「TОPIKの持続可能な発展に向けた他言語TESTとの比較~教育現場での活用を中心に」と示された通り、大学で韓国語教育に携わる専門家や他言語テストの実施状況を報告できる関係者ら6人を中心に、第1部と第2部からなる講演を行った。
まず、李東俊・韓国教育財団研究員がTОPIK実施の沿革や現況、運営努力について報告。続けて、中島仁・東海大学准教授がTОPIK(1~6級)所持者が大学で単位互換できたり、入学前から外国語試験を免除できる実例を具体的に説明。最後に、稲川右樹・帝塚山学院大学准教授が自身の周囲から寄せられたTОPIK受験者の具体的な声・要望などを紹介した。総じて第1部ではTОPIKを取り巻く環境を聴講者に伝える内容だった。
休憩をはさんで始まった第2部の発表は、いずれもTОPIKのような他言語テストの関係者からの報告である。
新田了・立教大学教授は英語圏の言語テスト「CEFR」の世界や日本での実施状況を伝えた。「TOEIC」や「英検」と異なり、
「CEFR」は「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ共通の言語参照枠」として、機能しているという。誰もが「ネイティブ・モデル(多言語主義)」を目指すのではなく、言語を使って何ができるかといった「複言語主義」という複合的・複層的でユニークな言語能力の習得を目指しているという。
本田恵三・HSK日本実施委員会専務理事/事務局長は、「中検」とも違う「HSK」の魅力を語った。毎月実施され、一度でも受験すると通知メールがひっきりなしに送られてくるという(稲川准教授談)。運営努力を支えているのは企画側の「情熱」のみだと訴え、会場を沸かせた。
「HSK」の昨年の日本の受験者は3万7489人で、TОPIKの3万9334人と肩を並べる。男女比率が「HSK」は半々であるのに対して、TОPIKは「1対9」という。
最後の発表者となったル・ルー清野ブレンダン・法政大学准教授は、フランスの「DELF(DALF)」を紹介した。他言語テストとの差異は「仏検」の影響力が強いため、日本であまり広まっていない点であるという。作文の採点基準など、試験監督者の裁量に委ねられている部分が多いため、監督者資格を取得するための試験が先行してあるという点は興味深い。
総合討論の場で、TОPIKに「口頭表現」がないことが疑問視された。李東俊研究員によると会場(教室)確保の関係で実施が難しいとのことだ。ほかにも具体的な試験の取り組みや課題について、積極的な意見交換が行われた。
1日を通じて、他言語テストとの実施状況比較などにより、TОPIKを相対視するという当初の目的を十分に遂げることができたと、梁鎬錫・駐日韓国大使館主席教育官/韓国教育財団常務理事が総括した。

 総合討論では積極的に意見交換


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