韓国は世界的に見て、急激な経済発展を遂げた国のひとつといえるだろう。近年はエンターテインメントの分野も好調で、2000年からの20年間でGDPは3・85倍にまで成長した。この間、日本はわずか3%しか成長していない▼一方で、韓国経済にも陰りが見え始めている。韓国銀行が発表した22年度の名目GDPは1兆6733億ドルで世界13位。それまでの2年間は10位だった。05年に初めて10位にランクインし、その後はアップダウンを繰り返したことを考えれば、3ランクの後退はそれほど悲観的にみる必要はないかもしれない。しかも昨年のランクダウンの主因はドル高ウォン安だ▼韓国を追い抜いた国々は資源国で、ドル高の影響を受けなかった。コロナ禍、ウクライナ戦争などを通して明確になったのは、資源を有する国の強さだ。世界的に保護主義的流れが強まってきているのもマイナス材料だ。グローバル経済のブロック化は、自由貿易の最大恩恵者である韓国経済の根幹を揺るがしかねない▼こういった背景から、韓国が再びベスト10に返り咲くことは難しいのではと見る専門家もいる。14位だったスペイン、15位だったメキシコの今年のGDP予測は、韓国より高い2%台。中長期的に見ても少子高齢化による生産年齢人口の減少から、韓国が現在の経済規模を維持することは難しい。幸いなことに韓国は先端分野で高い技術力、生産ノウハウを持っている。また経済のピークダウンを先に経験した日本から学ぶことも重要ではないか。