国際秩序の中で迷子になった大韓民国

ウクライナ戦争持続へ 支援決める
日付: 2023年07月18日 10時51分

 尹錫悦大統領は6月29日、統一部長官と次官12人を交替した。9カ月後に迫った総選挙への態勢整備の一環だ。だが尹大統領の処方と支持者たちの感覚には隔たりがある。官僚社会の粛清は必要だが、最も緊急な課題がある。司法府と選管委、朴英洙に象徴される腐敗法曹カルテルを粛清することだ。朴槿惠大統領を違憲弾劾した朴英洙に対する拘束令状を特検が棄却したことは国民を激怒させている。

 

 尹錫悦政権は、グローバリスト勢力の手下になったのか。尹大統領のウクライナ訪問は、韓国軍が駐留していない戦時国家を訪問した最初の事例だ。ウクライナに対するNATOの支援が限界に達した状況で、韓国をウクライナ戦争に追い込んだのは米国だ。バイデンは、親米政権の尹政権を代理軍とするつもりだ。
ゼレンスキーは首脳会談の途中にも動画を公開、尹大統領を利用した。尹大統領は、誰かに洗脳でもされたように語った。尹大統領はゼレンスキーとの拡大会談の冒頭発言で「ロシアのウクライナ侵略はウクライナの主権に対する攻撃で、自由・人権・法治の基盤である国際規範への挑戦」と言い、共同言論発表文で、「私たち2人は韓国の『安保支援・人道支援・再建支援』を包括する『ウクライナ平和連帯イニシアチブ』を共に推進していくことにした。『生則死 死則生』の精神で強力に連帯して一緒に戦っていけば、きっと私たちの自由と民主主義を守り抜けるでしょう」と言った。尹大統領の発表は、同盟の宣言のような表現だ。
ゼレンスキーは、ロシア軍の撤退と正義回復、核安全と食糧安全保障など10項目を盛り込んだ「平和の公式」と首脳会議の開催を求めている。
尹大統領に随行した金泰孝国家安保室1次長は16日、ワルシャワに戻ってブリーフィングをした。金次長の説明は、ブリーフィングというよりグローバリストの主張を代弁する、反ロシアのプロパガンダだった。金次長は、尹大統領が直接現場を確認してこそウクライナの状況評価が可能であるため訪れたとしたが、大統領一行が訪れた所は、ブチャ市の聖アンドリュー大聖堂で「写真展」を通じて被害実状を確認したのがすべてだった。つまりゼレンスキーの演出に従って写真を見に行ったのだ。
金次長は、尹政府の「価値外交」「責任外交」の実践基調がアジアやヨーロッパを越えグローバル次元で立体的に現れたとした。金次長は、首脳会談で確認した3つの分野での9つのウクライナ支援パッケージは「ウクライナ平和連帯イニシアチブ」と名付けられたと言った。「安保分野では軍需物資支援を拡大、中長期的に韓・ウクライナ防衛事業協力を計画構想すること」で、「食料安保とエネルギー安保においても国際貢献と協力を拡大する」と言った。また「平和公式の首脳会議の開催・準備に緊密に協力する」と伝えた。
金次長は「地雷探知機・除去機の支援を拡大する」と発表した。再建分野の協力は「対外経済協力基金と公的開発援助による支援パッケージを適切に配合」「特にウクライナは二次電池、電気自動車生産、金属製錬分野まで直接投資を要請した」と説明した。尹錫悦・ゼレンスキー奨学金も創設するという。韓国ポーランドウクライナ間の再建了解覚書(MOU)も署名した。韓国政府は韓国銀行から113兆ウォンを借りて充当する。
今回の措置でロシアとの関係が悪化するとの指摘に対し、大統領室は17日、「ウクライナ支援に関する韓国の基本原則を明らかにしただけ」「ロシアを敵対視したことがない」とした。今後の複雑な国際秩序の変化にこの支離滅裂な政権が対応できるだろうか。

 


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