西欧の躊躇とグローバルサウスの挑戦

BRICSが金本位の貿易通貨の導入予告
日付: 2023年07月11日 12時16分

 ウクライナ戦争の方向が示されるNATO首脳会議が11日と12日、リトアニアで開催される。
尹錫悦大統領も10日から15日間、リトアニアとポーランドを訪問中だ。国際秩序は過去16カ月間、根本的に変わった。今年3月、ロシアと中国が戦略的提携を確認したことで、BRICSとSCOとEAEUが、グローバルサウスの求心点となる方向は戻せなくなった。グローバルサウスは西欧秩序を包囲している。
西欧がロシアをSWIFTから追い出したことが、ロシアをはじめ国々の脱ドル化を促進した。NATO首脳会議の1週間前に開催されたSCO首脳会議(議長国インド)は、ロシアと共にEAEUを主導するイランを正式加入させ、SCOとBRICSの連帯を確固とする措置を取った。ロシアのRT誌は「新しい通貨と新しい世界」(New Money New World)というタイトルで、南アフリカでの首脳会談(8月22日~24日)を期しBRICS共同通貨の発足を予告した。
ロシア外務省は、BRICS国家が金本位の新しい貿易通貨を導入する計画で、8月の南アフリカで開かれる首脳会談に41カ国がBRICS加入と新しい通貨導入に関心を示したとした。既存5カ国に41カ国が関心を持つこと自体が新しい世界だ。
アルゼンチン、イラン、インドネシア、トルコ、サウジアラビア、エジプトなど人口・資源大国がBRICS加入を希望している。2022年基準でBRICSは世界の人口の42%、GDPの23%、貿易の17%を占めたが、門戸を開放すればこの比重はさらに大きくなる。ブルームバーグもすでに23年からBRICS加盟国は世界経済成長貢献度でG7を上回ると報じた。IMF統計で計算すればBRICSは32・1%、G7は29・9%と予想された。ブルームバーグは28年まで全世界GDP成長で中国は22・6%、インドが12・9%を占めると予想した。
一方、脱産業化が進んだG7国家は厳しい状況にある。フランスがBRICSを打診し拒絶されたほどだ。ところで、ウクライナ戦争を起こしたネオコンたちの姿勢の変化が目立つ。NATO諸国は、ウクライナのNATO加入には反対、戦略的に中国をロシアから離そうとする意図を明確にしている。米国が先頭に立っている。
ブリンケン国務長官に続き、ジャネット・イエレン米財務長官が6日から9日、北京を訪問した。米国は中国とのデカップリングを追求せず多様化を追求するという。デカップリングは事実上、不可能と言った。イエレン長官は、米中関係は両国の利益となる公平な規則に基づくべきだと述べた。ウィリアム・バーンズ米CIA局長もイギリスオックスフォードシャーのディチリ財団での講演で、中国とデカップリングするのは愚かな行為だと述べた。中国は慎重に対応している。
西欧社会にはこの戦争を終わらせるリーダーシップが見られない。わずか1年先も予測できない、西欧陣営の短見と焦りを指摘せざるを得ない。結局、NATOは分裂、解体されるしかない。韓国と日本は盲目的にNATOを追随してはならない。


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