2ナノ半導体量産へ競争激化

韓日米台の企業が技術覇権狙う
日付: 2023年07月04日 10時50分

 産業のコメとも呼ばれる半導体覇権競争が激化している。焦点となっているのが、半導体の微細化。サムスン電子と台湾のTSMCが3ナノの量産化に成功したが、次世代である2ナノ半導体の試作・量産をめぐり、先行する両社だけではなく米インテル、日本のラピダスも本格的に参入した。

 

 サムスン電子は6月27日、米シリコンバレーで「サムスン・ファウンドリ・フォーラム2023」を開催した。同フォーラムの席上で発表された半導体2ナノ戦略が注目を集めた。
半導体は、1世代ごとに約70%の微細化が進む。それを「テクノロジーノード」(=ナノメートル)という数値で表すが、ナノメートルの単位が小さくなるほど、低電力、高性能、超小型半導体の製造が可能となる。現在、その微細化の最先端を走るのが韓国のサムスンと台湾のTSMCだ。
サムスンは昨年6月、3ナノ半導体の量産に世界で初めて成功。TSMCは少し遅れて昨年の12月から3ナノ半導体量産を開始した。現在、3ナノ半導体の量産化に成功したのはこの2社のみだ。
2ナノ半導体生産の主導権を取ることが、グローバルな半導体覇権争いの鍵を握るとみられていることから、微細化技術競争は激化している。
フォーラムでは(1)2025年、モバイル用半導体の生産から開始する(2)翌26年にはハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)に2ナノ工程を適用する(3)27年には車載用半導体工程に拡大するなどサムスンの2ナノ工程が発表された。
現在、3ナノ工程の技術基準でサムスン電子がTSMCに比べて1年ほど遅れていると見られている。TSMCは来年初めに計画していた2ナノ工程の試作品の生産を、今年7月にも実施する考えを示している。 一方、サムスンは昨年6月、ナノ競争の中核とされるGAA(Gate All Around)トランジスタ技術を3ナノ半導体の量産に世界で初めて導入した。
TSMCは、GAA技術の3ナノ利用に至っておらず、25年から生産を始める2ナノ工程からこの技術を適用する予定と言われている。そのため両社の2ナノ技術力は今後、縮まっていくと見られている。
米・インテルもファウンドリ部門への投資を大幅に強化している。ドイツやポーランド、イスラエルなどに半導体工場の新規建設を推進する意向で、サムスン、TSMCには後れをとるものの24年上半期には2ナノ工程を導入し、25年下半期からは1・8ナノ工程を生産ラインに導入すると発表している。
日本の半導体企業であるラピダスも米IBMと協力し、25年に2ナノ半導体の試作品を完成、27年から量産すると発表した。ただし、ラピダスは現在、トップグループから「9世代」も技術レベルが遅れている。3ナノ工程の量産化の成功なく、2ナノ半導体を量産した場合、品質が保障されるかは未知数と疑問視されている。ラピダスは、トヨタやNTTなど日本主要大企業8社が提携し発足した半導体企業。今後の動向が注目される。


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