AI半導体の需要高まる

サムスン、SKも生産拡大へ
日付: 2023年06月27日 10時20分

 チャットGPTなどの生成AI(人工知能)が世界的に話題になる中で、関連分野の半導体市場が注目を集めている。各国を代表する企業がメモリー半導体、半導体ファウンダリー(委託生産)などの分野で激しい技術競争を繰り広げてきたが、急増するAI半導体需要に韓国企業も対応に乗り出した。

 

 メモリー分野でサムスン電子、ファウンダリー分野で台湾・TSMCがトップを走ってきた半導体業界に異変が起きている。生成AIの開発が急速に進むなか、コンピューターの画像処理に強みを持つ米・NVIDIAが一躍脚光を浴び、先ごろ同社の時価総額が1兆ドルを超えた。
これまで時価総額が1兆ドルに達した企業は9社にすぎず、半導体企業が時価総額1兆ドルを記録したのは初めて。現在はアップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、サウジアラビアの国営石油企業のサウジアラムコの5社。NVIDIAがAIという新市場の寵児に浮上した。
NVIDIAの株価が上がり、サムスン電子とSKハイニックスの株価もともに上がった。AIブームでサムスン電子とSKハイニックスの高性能メモリー(HBM)需要が増加すると市場が見たからだ。
こうしたなか、サムスン電子とSKハイニックスは、AI半導体需要に本格的に対応するため、高付加価値製品である高帯域幅メモリー(HBM)の生産を拡大するという方針を打ち出した。HBMは、複数のDRAMを垂直に積み重ねてデータ処理速度を高めた次世代メモリーだ。

高性能HBMへシフト

チャットGPTブーム以降、AIサーバーの出荷量が急増し、HBMの需要が急速に高まっている。高性能サーバー市場規模が拡大し、GPUなどAI半導体の性能競争が激化し、より高性能のHBMに対するニーズも高まっている。市場調査会社のトレンドフォースは、HBM市場規模が今年から2025年まで年平均最大45%成長すると予測している。
HBMは、一般的なDRAMに比べて性能がはるかに優れているが、技術的な難易度が高く、先端パッケージング技術が必要となる。
SKハイニックスはHBM3の生産能力を拡大するため、利川工場の増設作業を開始した。SKハイニックスのHBM売上げはDRAM全体の売上げの10%程度だが、AIサーバーの高成長が予想されるため、今後2~3年以内に20%まで拡大するとされる。
今年下半期から新製品である12段積層HBM3の量産を本格的に開始する。12段積層HBM3は、積層されるDRAMの個数を従来の8個(合計16GB)から12個に増やし、容量を50%高めた製品で、最大容量は24GBだ。現在、AMDなどにサンプルを提供し、商用化作業を進めている。
サムスン電子はAIの潜在性に着目し、AIGPU(グラフィック処理装置)に必要なHBM技術開発を加速させる方針だ。
サムスン電子DS(半導体)部門の慶桂顕社長は9日、延世大学でAI時代について講演。そのなかで、AIGPUの開発の重要性について述べ、現在AIGPU市場シェアの大部分を占めるNVIDIAについて「今年はNVIDIAが独走するだろう」と話した。
サムスン電子は、9月に第4世代HBM製品であるHBM3を市場に投入し、量産を開始する。


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