編集余話

日付: 2023年06月27日 10時12分

 韓国の受験戦争は熾烈だ。日本の大学入学共通テストにあたる大学修学能力試験(修能)は、人生を決めるイベントといっても過言ではない。9時間に及ぶ修能は、進学だけでなく就職や結婚などの未来をも左右する▼韓国の教育部は20日、修能から「超難解問題」を排除する方針を明らかにした。張商允次官は、「子どもたちと保護者の不安を人質に私教育の負担を加重させ、公教育の現場まで荒廃する悪循環を政府が乗り出して断ち切らなければならない」と述べた。また一部の進学塾に対し「私腹を肥やす状況を、政府はこれ以上座視せず、この機に根絶する」と述べた▼この発言の背景には、「超難解問題」を解くテクニックを教える私塾が、高額な費用を要求してきた現実がある。この「超難解問題」については海外メディアも言及。ニューヨークタイムズは「公教育の教科課程から逸脱し、科目名とも一致しない極度に難しく、悪名高い問題」と紹介した▼政府の決定に対して野党は反対。共に民主党は「大学入試から超難解問題をなくせば塾費用がなくなると考えるのは問題を単純に見過ぎだ」とし、政府の対応を「最悪の教育惨事」とし大統領の謝罪、修能の枠組みを維持することを求めた▼民主党の李在明代表は大統領選挙当時、塾教育への依存から脱却するため超難解問題をなくすと国民に公約していた。野党となった現在、その主張は見事に棚上げされた。生徒や保護者が塾依存から脱却できる案を議論することが本来の政治家の役割ではないか。


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