北韓では今年、マイナス20度を超える大寒波が続き、食糧が最も困窮するという春窮期のただ中にある現在、金王朝は市民のための食糧を確保できず、市場の食糧価格が上昇するという事態になり、栄養失調で出勤できない労働者や飢えと病気による死者が増えているという。
深刻な食糧不足のため、コッチェビと呼ばれる浮浪児が増加し、病院などでは入院患者を強制退院させ、刑務所から数十人規模の受刑者が集団脱獄するという事件も発生したという。市民らは食べるものがなく頬が落ち、骨と皮だけのガリガリに痩せ、餓死寸前が常態化していると伝えられている。
そんななか、ミサイル発射に狂奔するばかりか、まるまる太った金正恩と、これまたまるまる太った娘のジュエがテレビや新聞にひんぱんに登場し、「尊敬するお子様」などと称するように強要し、国際社会から眉をひそめられている。食糧不足で痩せこけた市民の姿とはあまりにも違うからだ。
「うちの子は痩せこけているのに、ふざけるのもいい加減にしろ」とか「どれだけいいものを食べているのか。顔が白くて満月みたいだ」などと、金親娘の姿を目にした北韓住民の怨嗟の声が天にこだまし、地に鳴り響いているような気がする。
古来、衣食住を安定的に提供することが為政者の最大の責務だとされ、それが天の声だと意識されている。朝鮮王朝という封建社会から抜け出したような金王朝という犯罪集団は、朝鮮王朝よりもさらにひどい奴隷社会を構築している。許されざる悪政だが、国際社会は座視している。
かつての「苦難の行軍」と称された食糧危機の時は数十万人の餓死者が出たとされる。現在はその時以上の食糧不足で、人間に最低限必要な量を下回っているとみられ、そのような食糧不足を招いているのは、金王朝の長年にわたる経済の失政が原因だと分析されている。
金王朝はミサイル発射実験をやめようとせず、周辺国からの援助物資の提供も拒んでいるとされ、金王朝による集団統制の強化は、事態の悪化に拍車をかけているだけだという。
金王朝が昨年発射したミサイルの費用は、100万トン以上の食糧が購入できる金額で、食糧不足が解消できるとみられている。北韓が食糧危機の難局から抜け出せる唯一の方法は、ミサイル発射の費用を、食糧購入の費用に振り替えることだと思われるのだが、住民の衣食住を満たすことに一顧だにせず、天の声に逆らう金王朝は、この世に存在する事由はさらさらない。金王朝を天の声と崇める朝総連も同罪だろう。
(韓登)