北韓の現況とコロナ禍

都内で公開セミナー
日付: 2023年06月13日 12時20分

 8日、都内とオンラインでアジアプレス・インターナショナル主催の公開セミナー「最新報告~北朝鮮は今どうなっているのか」が開かれた。石丸次郎・同大阪事務所代表が報告した。
2020年のパンデミック以降、この3年間はコロナ以前に比べると脱北者はおろか、北韓を出国した人の記録がほとんどなく、深刻な情報の死角となっていると石丸代表は伝える。1993年7月から30年間にわたり活動してきたなかで、最も北韓住人との接触が困難になったのが今回である。国境は封鎖され、親族が荷物を送ったり、送金もできない状況になったのには、中国が2022年12月まで続けていた「ゼロコロナ」政策と無縁ではない。
中国との往来で生計を立てていたとみられる国境周辺の北韓の人々には、個人レベルでの経済活動が認められなくなった。中国から物品を売りに来る業者がいなくなり、北韓国内でそれらを流通させていた地方住民の暮らし(リヤカーや自転車で食糧を行き渡らせていた仕組み)が消えたのだ。
今年の4~5月に北韓の地方で餓死・病死者が増加(前年比3倍)している背景として、コロナ禍中の深刻な経済悪化があるとみて間違いない。
石丸代表は「たくさんの人が死んでいる状況を世界中の人たちにまず理解して欲しい」と言葉を詰まらせた。


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