国家報勲部の課題と役割

国民統合と精神的な礎として
日付: 2023年06月13日 11時12分

 韓国にとって6月は護国報勲の月だ。
「国を守る」護国と、「功勲に報いる」報勲は、国家の存在意義でもある。そのため、韓国や日本の同胞社会でも顕忠日には毎年追悼式(6月6日)を行い、韓国戦争の参戦犠牲者を称えている。
ここで存在感を放つのが、今月5日に発足した「国家報勲部」だ。「部」へと格上げされたことにより、報勲部長官は国務会議で審議・議決権を有するようになり、管轄案件に対して直接施行令を発動できる「部令発動権」を持つようになった。
朴敏植・国家報勲部長官は発足初日、国立大田顕忠院に足を運び、殉国烈士の参拝を行った。朴長官は就任演説で「国家に身を捧げた方々を尊ぶ大韓民国を作るため、新たな覚悟をもって再出発する。ようやく一歩を踏み出した報勲部をしっかりと定着させ、報勲が国家の精神的礎かつ文化として定着するよう努める」と語った。朴長官はまた、ソウル龍山に米ワシントンの「ナショナルモール」のような護国報勲公園を造成し、韓国戦争最大の激戦地だった慶尚道洛東江の防御線に護国ベルトを造成する、との青写真も示した。
韓国社会では、「報勲」を巡る葛藤が続いている。例えば、抗日独立運動の参加者や建国に貢献した者に対する評価や掘り起こしへの礼遇については論争が後を絶たない。文在寅政権当時、キム・ウォンボンらを建国勲章として追叙したことは代表的な例だ。彼らは1948年の大韓民国建国に何ら携わっておらず、また北韓政権を露骨に支持したにもかかわらず、当時の政権は勲章叙勲を強行した。キム・ウォンボンの場合、北韓政権樹立の功労者として金日成から努力勲章を授与され、対南スパイ活動を指揮した経歴を持つ反国家的人物だ。
朴敏植長官も国会聴聞会の過程で、建国時の大統領・李承晩記念館建設の必要性について意見を述べると、野党側から激しく反発されたことがある。報勲の重要性は、国家共同体に対する意識の強化と、国民間における理念的葛藤を解消させることにある。
「報勲が韓国の精神的礎であり、持続可能な未来をリードする中心的な価値として根付くよう努める」
「報勲」は過去を乗り越え、国民の統合と国家のアイデンティティー確立の一助となるのか。国家報勲部の果たすべき役割は大きい。
(ソウル=李民晧)

 

顕忠日を翌日に控えた5日、国立大田顕忠院で参拝する遺族ら


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