中国側の露骨な統一戦線工作

米中覇権戦争で韓国の中立を要求
日付: 2023年06月13日 11時00分

 韓中関係の緊張と不安定を確認させる事件が起きた。駐韓中国大使の海明が政権交代後、親中から親米へと方向転換した尹錫悦政府の政策を高圧的に批判した。彼は徹底した親中派の共に民主党代表の李在明を晩餐会に招待、あらかじめ準備した文書を通じて、韓米同盟など韓国の安保や経済問題などに対して内政干渉と脅迫的な発言をした。この光景はYouTubeを通じて国内外に生中継された。韓中両国の衝突を収拾するには大使の交替が避けられない。

 以前から荒い言動で世間を賑わせてきた海明大使は8日、李在明を招待した席で、事前に北京と検討したと思われるA4用紙5枚分量の文書を約15分間かけて読んだ。海明が読んだ文書は、捏造された歴史観から始まり、韓国に対する内政干渉や脅迫と受け止めるしかない深刻な内容だった。
韓国外交部は翌日、張虎鎭外交部1次官が海明大使を外交部庁舎に呼び「内政干渉に該当し得る」「外交使節の本分から逸脱しないよう行動してほしい」と警告した。韓国の朝野も一斉に海明の暴言を糾弾した。
すると中国外交部もホームページに代弁人の問答形式の文を載せ、「海明大使が韓国政府と政党、社会各界各層と幅広く接触し、両国関係と共同関心事について意見を交換し、中国の立場と懸念を紹介するのは、職務の範囲内にある」と庇護した。
外交部の農融次官補が鄭在浩駐中韓国大使を招致(10日)し韓国側の「不当な反応」に「深刻な憂慮と不満を表明」したと外交部ホームページに公開(11日)した。
韓国政府は外交部だけでなく、異例的に大統領室と韓悳洙国務総理も中国側を強く批判、警告した。
朴振外交部長官は12日、海明大使の発言に対して「非常に不適切な言行」とし「すべての結果は本人の責任になる」と話した。ただし、朴長官は「大使を外交的忌避人物(PNG)と指定せねばならない」という国内の主張には「外交部はすべての結果は大使本人の責任になると明確に警告した」とだけ答えた。
問題となった海明の発言の要旨韓中関係に対する中国側の見解は、次の通りだ。
「(中韓両国は)日本帝国主義の侵略に立ち向かって、(中略)共同の敵に対抗し、困難の中でお互い助け合った。そして力を合わせて国家の独立と民族解放を成し遂げた」「(現在、中韓関係が困難にぶつかった)責任は中国にはない。(中略)台湾問題は中国の核心利益中の核心であり、(中略)われわれは、韓国側が約束をしっかり守り、台湾問題などで中国の核心の懸念を確実に尊重してくれることを望む」「(韓国の対中国貿易赤字の拡大は)グローバル経済状況が良くなく、半導体の景気が下降局面に入るなど客観的な原因のためでもあるが、一部では『脱中国化』の推進を試みたことがもっと主要な原因だと考えている。(中略)われわれは、韓国が中国の協力に対する信頼を硬くし、中国市場と産業構造の変化に順応し、対中投資戦略を適切なタイミングで調整さえすれば、明らかに中国経済成長のボーナスを継続的に享受することができると信じる」「米国が全力で中国を圧迫する状況の中で、一部では米国が勝利するはずで、中国が敗北するという賭けをしているようだ。しかし、これは明らかに間違った判断だ。そして歴史の流れも正しく捉えていないのだ。(中略)断言できるのは現在、中国の敗北に賭ける人々がおそらくこれから必ず後悔するはずという点だ」「共に民主党は(中略)韓国社会においての中国に対する正確な認識の増進と両国関係の安定的かつ健全な発展のため積極的な役割を果たして欲しい」「(中国は韓半島情勢の緊張緩和のため)関連諸国が冷静と自制を維持しながら、早速に『双中断』を再推進し、情勢の緩和と対話の再開を推進することを訴える」「日本政府が、繰り返し福島原発汚染水の海洋放流を合理化している。(中略)太平洋を自分の家の下水道にしている。(中略)日本はまもなく正式に原発汚染水の海洋放流決定を下すようだ。中国と韓国は、日本の隣国として、自国民の生命の安全を守り、世界海洋生態環境を保護するため、一緒に日本の汚染水の海洋放流を最善を尽くして阻止せねばならない」
上記発言の後、李在明と海明は、共同で日本の福島汚染水放流を非難、韓中が共同で対応しようと宣言した。海明は、中国の関連諸国に「双中断」、つまり、北韓の核・ミサイル実験と、韓米の大規模の軍事訓練を同時に中断し、対話の再開を推進するよう訴えると言った。要するに中共は、李在明党と統一戦線を宣言したのだ。
海明大使は、韓東勳法務長官に会おうと試みたが、韓長官は断った。
中国側は、韓国内の中国人に付与された地方選挙権の取り消しを防ぐための努力と言われている。
一方、与党の「国民の力」の金起炫代表は8日、国会の中で相星孝一駐韓日本大使に会った。

 

 


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