編集余話

日付: 2023年06月06日 12時11分

 5月31日早朝、北韓は偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型衛星運搬ロケット「千里馬1型」を東倉里発射場から打ち上げた。これまでのミサイルは北東に発射されたものがほとんどだが、今回は南に向け発射された。ソウルでは6時42分頃、市民に「避難を準備せよ」という警報メッセージが出され、街頭にも警告放送が流れた▼ロケットは結局、2段目のエンジンの異常で推進力を失い、西海(黄海)に墜落した。北韓の偵察衛星打ち上げは約7年ぶりだが、韓国が5月25日、国産ロケット「ヌリ号」を発射し、小型衛星の軌道投入に成功したことと無関係ではないだろう。準備期間はわずか数日。当日は台風が接近している状況。明らかに無謀である▼北韓がミサイルを発射すれば、わずか2分でソウルに着弾する。尹政権は韓米同盟の強化を進めているが、現実問題としてミサイルを空中で迎撃できなければ瞬時にソウルが火の海になる。日本も大差はない▼韓国国防部は1日、「韓国型サード(THAAD)」と呼ばれる長距離地対空ミサイル(L‐SAM)の迎撃試験に成功したと発表した。来年末には開発を終え、2025年に量産体制に入り、20年代後半には韓国軍に実戦配備する計画だと説明した▼だが、迎撃ミサイルがはたしてどれだけの効果を発揮するだろうか。南北間の戦争は終わっていない。いまだ休戦状態だ。韓日両国の国民はいま一度、自分たちが享受している平和が、いとも簡単に崩れうるものだと自覚し気を引き締めた方がいい。


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