【社説】尹錫悦大統領はいま、決断をすべきときだ

日付: 2023年06月06日 12時10分

 国民的疑惑の対象である選挙管理委員が、監査院の職務監査を拒否しているのに対し、国民的怒りが爆発している。選管委は一体何が怖いのか、何を隠すため監査を拒否するのか。
一般人たちによる選管委や大法官などに対する告発が続く中、与党である「国民の力」も中央選管委員全員の辞退を決定した。
そして決定的な時局のたびに意見を表明してきた、大学教授6200人の集まりである「社会正義を望む全国教授の集まり」は5日、「選管委に対する監査院の調査は、主権者である国民の命令だ」「盧泰嶽選管委員長は即刻、辞退し選管委は監査院の監査に無条件に応じろ」という声明を発表した。
ところが、尹錫悦大統領と法務部、検察は沈黙している。尹政権は、左翼既得権層の剔抉においては決定障害なのか。
どの国でも、最高指導者(権力者)は、大きく見て二つのタイプに分けられる。自分より国家を優先する指導者たちと、国家よりも自分の政治的立地や権力を優先する権力者たちだ。
韓国国民は当然、尹大統領に自分より大韓民国の未来、運命を優先する大統領になって欲しいと望む。
国民からは、尹大統領はまったく決断ができない指導者として見え始めてきている。検察は事件を処理し、国情院はスパイを捜査するが、大韓民国の正常化と法治回復が大いに進展していると感じられない。自由民主体制を破壊する巨悪・反逆が剔抉されずにいるからだ。
平壌側は過去75年間、3人の韓国大統領を暗殺しようとした。そして、ソウルオリンピック後の韓国の大統領たちは概して自分の5年の任期だけ無事に全うしようとする後者のタイプだった。平壌側としては、今や韓国指導者を物理的に除去するのではなく、韓国内の従北勢力を動員し引き下ろそうとする。
共和制の基礎である選挙システムが決定的に破壊された状況を、検事出身の大統領が放置するのは信じられない。2020年の総選挙が不正選挙だったと無数の証拠が出た。
何より、憲法が保障した公正な裁判を迅速に受ける国民の基本権が無視されている状況が続くのは、憲法上の大統領の責務を遺棄する行為ではないか。
大韓民国は今、平壌の反国家団体(朝鮮労働党)の指令で動く反国家勢力が跋扈している。現に、民主労総とその傘下の全教組、全国公務員労組などが合法政府を認めず打倒に出ている。
何より深刻なのは、彼ら自身が政府を構成する憲法機関でありながら、憲法秩序を破壊している。選挙管理委員会と大法院(司法府)の逸脱、反逆は、たった一角でも容認できない。裁判と選挙を破壊することはスパイ事件よりも遥かに深刻だ。
尹政権は、外交においても不安を見せている。米国の要求に応じてウクライナ戦争に深く巻き込まれている。韓米同盟は重要だが、国民は不安でたまらない。
ポーランドに武器を大規模に輸出したが、代金の70%は韓国政府が支払いを保証する輸出入銀行融資だ。ポーランドは政情が不安だ。今日の同盟は、運命を共にする関係ではない。韓日関係も自民党政権は冷淡な態度を堅持している。金大中小渕共同宣言を強調したが一方的な期待だったことを反省せねばならない。
尹大統領は、大統領当選の身分で、青瓦台の移転を法的根拠や予算の裏付けがなくても電光石火のように押し通した。尹大統領は当時、とても重要なことを簡単に決定し推進した。ところが今、大韓民国の安全と繁栄のための緊急の課題、国家正常化と法治回復のための合法的権限はなぜ行使しないのか。
尹大統領は国家のための統治権次元の決断を見せてほしい。不正選挙を剔抉せよ。盧泰嶽から拘束、捜査せよ。


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