世界で韓国語学習者が増加

日本は趣味・腕試し派主流
日付: 2023年05月30日 12時09分

 世界的に韓国語学習熱が高まっている。日本でも韓流ファンを中心に韓国語学習者が増加している。今回は、韓国語能力試験(TOPIK)を実施する韓国教育財団、韓国語学習系ユーチューバーとして活躍するトリリンガルのトミさんなどに取材、最近の日本での韓国語学習の状況などを探った。コロナ後は学習者の意識に変化が現れているという。

 言語学習アプリ「デュオリンク」によると、韓国語は昨年、同アプリで7番目に学習された言語であると明らかになった。特に西アジアや東南アジアで人気でフィリピンやブルネイなどではもっとも多く学習された言語だった。
TOPIKは、韓国政府に認定される唯一の語学検定試験。2022年は世界97カ国で実施され、35万6000人が受験した。コロナの前後で比較すると、19年には世界83カ国で37万5000人で、受験者数はやや減少している。だがコロナ禍で各国が行動制限を行っていたなかでは健闘したといえるだろう。
日本の受験状況も世界の状況と似ている。この4年間の日本での受験状況を見てみると、19年に2万7715人だった受験者は20年には5711人へと落ち込む。翌21年には過去最高の4万957人を記録した。22年は3万9334人で前年の受験者数をやや下回ったが、コロナ禍での中止により受験者が分散したためとみられている。

■より実践的な学習へ

TOPIKを受験する目的は、就職や留学など、韓国に滞在するためのVISA取得が世界的な主流だ。東南アジアではその傾向が顕著だ。一方、日本の受験状況は特異であるという。日本では、趣味や腕試しで受験する人が多数派で、就労目的は極めて少数だ。コロナ禍では巣ごもり需要もあり、韓流コンテンツを視聴する人が増加。韓流ファンも増えたといわれるが、必ずTOPIK資格を取得しなければいけないという層は少なかっただろう。
YouTubeで韓国語学習の情報を発信しているトリリンガルのトミさんは、コロナ期間中とコロナ明けとでは学習目的に少なからず変化が生まれているように感じているという。大きなカテゴリーとしては「韓国好き」「韓ドラ・KPOP好き」の人が主な韓国語学習者の傾向であることには変わりはないが、「コロナが明けていよいよ韓国旅行に行ける、または推しが日本にやってくるということで、より実践的な目的で韓国語を熱心に学習する人が多い印象」と話した。「日本での韓国語学習熱がより高まっていると感じている」という。

■試験を年3回から4回へ

韓国教育財団では、コロナ禍が深刻だった20年以降、試験会場の増設や管理体制の見直しなどを推進した。コロナ禍で試験を開催することに混乱をきたしたため改善を加えたという。試験当日には毎回、700~1000人のスタッフが日本の各地で実働している。国家試験ゆえの厳しさもあり、全体的な試験管理体制を整えるのは容易ではないという。今年は例年より1回多く試験が開催される。
韓国教育財団の李東俊コーディネーターは「受験者により良い環境で受験してほしい。『今日は楽しかった』と試験後に言ってもらえるような環境づくりを進めていきたい」と語った。
今年は、コロナ前の水準に戻るだけでなく、過去最高の受験者数となるか、期待される。

TOPIK試験会場の様子(提供=韓国教育財団)

 


閉じる