広島サミットで対中首脳声明

経済的圧迫許さず共同対応
日付: 2023年05月23日 10時10分

 19日、広島で開幕した先進主要7カ国(G7)首脳会議で、資源を武器化し、貿易と投資を制限するなど、中国の「経済的威圧」に対し参加国が共同で対処する内容の声明を発表した。

 同盟国と協力し先端産業で中国を封鎖する戦略を展開している米国は、今回のG7首脳会議を機に新経済秩序構築を図る狙いだ。声明では名指しこそ避けたが、内容は中国に対抗する安全保障政策の分野で、G7各国が従来の連携を一層強化するとともに、支援を通じてグローバルサウスの国々を取り込むことを狙うものとなった。
「我々は、蔓延する不透明かつ有害な産業補助金、国有企業による市場歪曲的慣行及びあらゆる形態の強制技術移転といった幅広い非市場的政策及び慣行、並びに戦略的依存関係及び構造的な脆弱性を作り出すその他の慣行を利用する包括的な戦略に関し、新たな懸念を表明する」とし、世界貿易機関(WTO)のルールを順守しない中国を批判。「我々は、公平な競争条件を歪める非市場的政策及び慣行に取り組むためのより強力な国際的なルール及び規範を引き続き積極的に発展させていくとともに、これらの問題により良く対処するためにWTOにおける取り組みを強化していく」と中国の政策に対処していくことが、経済的強靭性及び経済安全保障を強化することになるとした。中国の経済的威圧行為は、2019年と20年で53件にも及んでいる。韓国では16年、地上配備型ミサイル迎撃システム「THAAD」を配備すると発表したことで、中国から経済制裁を受けた。中国政府はロッテほか中国内で事業を展開する韓国企業に対して不当な規制を行ったほか、韓流コンテンツの締め出し、韓国製品の不買運動などの措置を講じた。G7はこういった政策に対し、「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を新たに立ち上げ、「連携を強化していくとともに、G7以外のパートナーとの協力を更に促進していく」とした。
こういったなか、尹大統領は討議で「韓国は自由の価値と法治に基づく国際秩序を強固にするため、G7各国と緊密に協力していく」と述べた。
ただ、中国への対応については、先進国の中でも温度差が広がっている。米国ではインフレ抑制法や半導体支援法など保護主義的な政策がエスカレートしており、尹政権も米国の動きを注視していく必要があると言える。
尹大統領は「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国の代表格であるインドや、自国通貨での両国間の貿易決済制度を結んだインドネシア首脳とも会談。G7サミットの終了後に韓国を訪問したドイツのショルツ首相とも会談を行った。独首相が2国間会談のために韓国を公式訪問するのは30年ぶり。ドイツは最大貿易相手国である中国への依存度を下げようとしている。ショルツ首相は、「サプライチェーンや輸出、直接投資に関し、一つの国に頼らない経済構造をつくる必要がある」と述べた。両国は、半導体や電気自動車バッテリーなどの先端産業分野で貿易や投資を拡大する方針で合意した。
脱中国とともに、米国一国への過剰な依存を避けることも韓国経済の課題といえるだろう。

 


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