【社説】核攻撃しようとする平壌側と連邦制統一が可能か

日付: 2023年05月16日 10時37分

 尹錫悦大統領が就任して1年、韓日関係は回復する雰囲気だ。だが、両国関係の回復は、メディアの報道によって増幅されたいわゆる「懸案葛藤」や慣性的・枝葉的問題へ流れている感じがする。尹大統領は先週、ソウルで行われた岸田首相との会談でも両国にとって自由・人権・法治を共有していると話した。
だが、両国が現実的に最も必要でかつ緊急に共有すべきことは、共同の利益追求だ。結論的に言えば、過去45年間、事実上破棄状態の「大陸棚共同開発協定」を直ちに再開、履行することが最も実際的な協力だ。外交は、本質的な最優先課題に集中せねばならない。エネルギーを分散させてはならない。
尹大統領は、広島で19日に開催されるG7首脳会議に招待された。韓国は今、同盟が求めるグローバル課題にエネルギーを使う余裕などない。尹大統領は米国の約束を信じ、独自の核抑止力を放棄した。韓国民の圧倒的多数が独自の核武装を支持しているにもかかわらず、同盟の要求を優先させる余裕があるのだろうか。韓国が今、30年前に反共軍事同盟としての歴史的責務が終わったNATOの立場を考えてあげる余裕があるか。
外交安保と内政は分離できない。尹大統領が就任以来、国家正常化に努めたにもかかわらず、国民は尹政権はこの1年間、時間を無駄に費やしたとみる。反逆と腐敗を清算するエネルギーと緊張感の維持に失敗している。大韓民国を破壊した反逆の張本人を放置している。不正選挙の捜査も行わなかった。大統領に反逆の清算・剔抉に対する確固たる意志がないと見られれば、大多数の官僚は動かない。確固たる意志の見えない権力は恐れない。李在明党(共に民主党)や民労総などが尹錫悦政権の揺さぶりに出るのもこのような雰囲気とは無関係ではない。
野党の絶望的な様子にもかかわらず、国政の主導力が落ちるのは、政策と路線に実質が欠け、矛盾と混乱があるからだ。統一部が最も目立つ例だ。統一部は支離滅裂だ。統一部は今年度の業務報告で、左翼政治学者たちに課題を与えて作った「連邦制統一案」に対する国民的合意を得ていくと報告した。
韓国に対する核攻撃態勢を整えた平壌側と連邦制統一を模索するなど、驚愕するしかない。大韓民国の同盟の最高目的は北韓解放だ。大韓民国は、韓米日共助を通じての北核の抑止・制圧が優先か、核を持った金正恩との連邦制推進が本心なのか。
2つの憲法を持つ連邦制統一が統一なのか。大韓民国憲法第4条は、自由民主的秩序で統一を命じている。
憲法4条を無視、朝鮮労働党規約をそのままにし「連邦制統一」を目指すのを法治と言えるか。中共と同盟した北側と、米国と同盟した韓国が、どう統一できるのか。このような状況を矛盾として感じないのか。連邦制統一の主張は、国保法をなくす陰謀と見るしかない。金正恩王朝との共存は、スパイはもちろん、従北勢力の容認を意味する。
これだけを見ても、尹政権の国家正常化・法治回復の努力が迷走しているのが分かる。大韓民国の建国に向けた制憲国会構成のための「5・10選挙」を阻止しようとした「済州4・3暴動」を歪曲、多数国民が同意しない、超憲法的な特権階層に「5・18民主有功者」を量産してきた「5・18精神」を憲法に入れると固執する。5・18勢力は大韓民国を批判、「民主化闘争」を自認しながらも、敵(平壌)とは闘争したことがないと知らないのか。
激変する世界の中、韓国は自力で生存する覚悟が必要だ。大韓民国の正常化にも革命的覚悟が必要だ。
海外の韓国人も尹大統領を激励と同時に監視する姿勢が必要だ。朝鮮労働党日本支部と戦わず内紛に明け暮れる在日韓国民団の覚醒を促す。


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