新韓銀行 「顧客第一主義」にキズ

ソウル本店に家宅捜査
日付: 2023年05月16日 10時29分

 新韓銀行が誇る「顧客第一主義」が揺らぎかねないような事件が相次いで発生した。
9日午前9時30分頃、ソウル警察庁金融犯罪捜査隊が新韓銀行本店(ソウル中区)で家宅捜索を行った。ファンド商品の販売時、収益構造や元金損失の可能性について顧客に説明する義務があるにもかかわらず、十分な説明を怠り、満期日を順守しなかったという容疑だ。
本件は「詐欺および資本市場法違反」として扱われ、問題のファンドは2019年7月から20年1月まで、新韓金融の系列会社「新韓金融投資」から販売されていた。「フィデリス」という名前の当該ファンドの投資家は385人、販売金額はおよそ1800億ウォン。さらには、同日午後にも同行関連のスキャンダルが発覚した。ソウル市江南区内の支店で、行員が顧客の預金を横領した事実が明らかになったのだ。正確な額は明かされていないが、少なくとも数億ウォン以上に上るという。新韓銀行は金融監督院に行員による横領の事実を報告し、内部調査を進めている。
金融監督院によると、国内金融会社の社員・行員による横領・背任などの金額は、昨年1年間で1100億ウォンに迫る。このうち都市銀で発生した事件の総額は897億ウォンを占める。金額面ではウリィ銀行が最大だったが、事件発生件数としては新韓銀行が最多だった。
新韓銀行は1982年7月、在日韓国人の出資者らによって「国のための銀行」「大衆のための銀行」を理念に掲げて誕生した韓国初の民間銀行だ。こうした相次ぐ醜聞は、新韓銀行が韓国でリードしてきた「顧客第一主義」に傷を残したといえる。今こそ「組織文化」と「内部統制」のあり方について、初心を取り戻す時が来たのではないか。

(ソウル=李民晧)


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