尹錫悦大統領が16・17日に大統領として初めて来日し、岸田文雄首相と首脳会談を行うこととなった。これにより、韓日間の政治・安保などはもちろん、経済面での連携、人的な交流の活性化などが見込まれる▼今回の訪日と首脳会談が実現したのは、韓国政府が「元徴用工問題の解決策」として公式案を発表したことが大きな理由だろう。この問題については、韓国国内で「屈辱外交だ」「急ぎすぎ」などといった反対意見が出ている。日本国内にも「1965年の韓日基本条約で解決済み」との立場を堅持する人が多い▼しかし、正論だけで進展しないのが外交関係だ。さまざまな民意があるなか、批判も覚悟で”政治的決着”を選び、韓日関係改善へと動いた尹錫悦大統領を評価すべきではないか。実際に韓日国交正常化の際も、両国が妥協を重ねての判断だった▼当時は今以上に反発があった。しかし両国は、国交を回復することが急務であると判断し、条約を締結した。その判断は、今になれば正しいものだったといえるだろう▼尹大統領の今回の決断は将来、評価されることになろう。その評価がどのようなものになるかは見守るべきだが、今回の決断が韓日関係の歴史的なターニングポイントになることを願う▼1960年代と現代の世界情勢を比較してみても、両国は自由民主主義陣営の最前線にあり、関係強化が望まれているのは同じだ。政府レベルだけでなく、両国民も交流を通じて、より良い関係構築に向けて努力すべきではないか。