韓国の与党「国民の力」は3月8日、党代表選を実施する。候補者は4人。金起炫、安哲秀、黄教安、千ハラムの各氏である。新代表は党員投票で決まる。最初の投票で過半数に達する候補者がいなければ、上位2名による決選投票になる▼憂慮されるのは党内の分裂である。すでに一部の候補が党代表になった場合、尹錫悦大統領が離党して新党を立ち上げる…といった憶測が流れるほどだ。候補者やその取り巻きによる、ライバル候補への牽制、神経戦も始まっている▼周知のとおり、韓国国会は野党が過半数を占める「ねじれ」状態になっている。ただでさえ課題が山積する韓国で、野党の反対にあって国会での審議は滞りがちだ。「国民の力」としては、分裂だけは絶対に避けたいところだろう▼野党側に目を移すと、先週大きな動きがあった。検察が16日、「共に民主党」の李在明代表に対する逮捕状を請求したのだ。李氏をめぐる数々の不正疑惑に対する捜査は、最終局面を迎えつつある▼しかし韓国の国会法では、会期中の国会議員に対する逮捕状は、国会の同意がなければ令状の実質審査の手続きに入ることができない。つまり野党の反対により、李氏の逮捕状は国会で否決され、裁判所へ付託されることなく終わる可能性も高い▼今後さらに激化する巨大野党との戦いに勝つためには、与党が一丸となって当たらなければならない。先延ばしができない国内外の課題に対処していくためにも、与党は党内の権力争いに固執している場合ではないだろう。