韓国経済の低迷が伝えられる際、その理由としてたいていセットになるのが半導体である。今も貿易での苦戦が伝えられているが、その要因はウォン安と半導体の不振にフォーカスされている▼確かに韓国の半導体産業は、台湾勢の追い上げにあい、劣勢に回っている。中国に注力しすぎたことも、中国経済の成長鈍化による影響をどこよりも受ける結果となっている▼その韓国では昨今、防衛産業や原発といった新たな産業が台頭している。その輸出先も、多岐にわたることは本紙でもたびたび触れている▼つい半月ほど前に大きなニュースになったのが、サウジアラビアのムハンマド皇太子の訪韓だ。わずか1日に満たない訪問時間だったが、尹錫悦大統領や韓国の高官と有意義な対話を交わしたという。早くも韓国の高官からは、年内にも数兆ウォン規模の受注があるとの見通しが発表されている▼サウジアラビアといえば、最近サッカーのワールドカップでアルゼンチンを破り、急きょ翌日を休日にしたことが報じられたばかり。王族のトップダウンで多くのことが決まるお国柄である▼10月には韓国型の原発をポーランドに輸出する覚書きが両政府間で交わされた。韓国からの原発輸出は2009年のUAE向け以来。EU圏向けには初の受注となる▼防衛産業にも、韓国政府は本腰を入れている。原発や開発計画もそうだが、いずれも「売って終わり」ではない。保守やシステムの管理など、長期にわたって収益が見込める。新成長分野に期待したい。