【社説】尹錫悦大統領が直面している戦い

日付: 2022年11月30日 12時18分

 韓国は今、内戦状況だ。われわれは、この内戦で自由民主体制を守り抜かねばならない。この戦いで勝つためには、自由民主体制がなぜ危機に陥ったのかを冷静に顧みなければならない。
大韓民国は建国以来、3つの戦争を戦ってきた。韓半島を支配しようとする中共との闘争、平壌の神政全体主義との妥協や譲歩のできない闘争、自由民主体制を否定する内部の敵との内戦だ。韓国の内戦が問題なのは、内部の敵が韓国社会のあらゆる部分に根を下ろし、大韓民国の主敵である中共や平壌側に内応、連帯していることだ。
国民が油断している間に、内部の敵は大韓民国の既得権層となった。これはソウル五輪後の第6共和国の政治家が「民主化」の熱気の中、「自由民主体制の敵」までを「民主化勢力」として受け入れる致命的なミスを犯したためだ。
ヨーロッパでは東西冷戦が終息したものの、東アジアと韓半島には社会主義が依然として、残っているにもかかわらず、韓国社会は大韓民国の自由民主体制を守る唯一の法的装置である国家保安法を軽視、政治家たちは国保法を形骸化する競争を行った。同時に、共産全体主義体制と戦う冷戦の司令塔である国家中央情報機関を弱化化させる措置を取ってきた。
大韓民国の敵、自由の敵が韓国社会の至る所に拠点を広げている間、内部の敵を制圧し、内戦を予防すべき国家保安法と国家情報機関は無力化した。敵のプロパガンダに政治が洗脳され、国内政治に対する関与禁止という名目の下、共産全体主義の牽制、制圧に不可欠な対共捜査権を制限、縮小させてきた。国内情報活動を禁止して内部の敵に反逆の自由を与えた。
ソウル五輪後の4回の左翼政権は、平壌側が核武装をするのを助けるなど、国家安保を致命的に破壊した。国家の最高規範である憲法の上に、盲目的に「民族」概念を置き、歴史を歪曲し同盟・友邦と摩擦を起こしてきた。5・18精神だの、盧武鉉精神だのを憲法と同格、あるいは憲法よりも優位にするように強いてきた。民主化勢力の自害行為が国家を危うくした。特に検察からも捜査権を奪って政治警察に与えた文在寅集団の狂乱は、韓国を文明社会から隔離させるまでに至った。文在寅集団は韓国社会を反逆と犯罪集団が支配するようにした。
このような環境でも韓国が発展してきたのは、市場経済体制の定着、特に強い競争力を持つ企業が存在するためだ。そしてこのすべては、権威主義独裁者として非難されながらも大韓民国を建国し産業化と民主化の土台を築いた3人の大統領たちの遺産だ。これは、同時代の他の国々の指導者たちと比べると明確だ。「民主化」を叫び、自由民主体制を転覆しようとする勢力まで「民主化勢力」として認めた政治家たちと比べるとなおさらだ。
目を内部の敵から世界に向ける。盲目的なスローガンに踊らされる韓国政治、政治家たちが韓国を漂流させている。世界は文明史的転換点を迎えている。ウクライナ戦争は西欧中心の国際秩序を根本から変えている。西欧中心国際秩序が瓦解するのは、西欧自らが西欧的価値(美徳)を捨て、守れなかったからだ。西欧社会も内部の敵によって内部崩壊しているのだ。
ちょうど3連任に成功した習近平の中共で反体制抵抗が起きている。ブラジルは軍部が不正選挙を断罪しようとする動きを見せている。われわれは盲目的な確信、先入観から解放されるべきだ。われわれが冷徹に変化に対応しないと、われわれの運命を決定できないと、他人がわれわれの運命を決定する。米国は大韓民国の同盟だ。しかし、米国やNATOが大韓民国の運命を決定してはならない。
尹大統領が、国家を救った大統領として歴史に記録されるか、国家を救えなかった大統領として記録されるのかは、尹大統領自らが決めるものだ。


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