編集余話

日付: 2022年10月04日 12時33分

 世界はいま非常に不安定で危険な状況だ。これはメディアの常套句である。安定して平和な状況だった時代など、あっただろうか▼大昔にはあったかもしれない。狭い地域内で、部族間の衝突程度の時代。平和でなかった場所はあっただろうが、世界規模ではなかったはずだ▼だが、交通・通信技術が発達し、世界が狭くなってきている現代は、局地的な不均衡が、世界全体のバランスを危うくさせる▼例えばロシアのウクライナ侵攻。ロシアに対抗するのは、EUだけではない。大西洋を挟んだ米国まで関与している。中国は、その隙を伺う姿勢を見せ、それは東アジア全体に波及する▼経済面でも同様だ。世界規模で貿易が拡大するからこそ、米ドル独歩高が各国の人々の生活を圧迫する。サプライチェーンリスクも、昨今の課題として急浮上している▼「世界はいま非常に不安定で危険な状況だ」という常套句は、「世界はどんどん不安定で危険な状況に進んでいる」と置き換えられるだろう▼危機を回避する第一の手段は外交である。外交は国家の仕事だ。経済政策も国の仕事である。では、危機管理を国のみに任せていいのだろうか。個人にできることはないのか▼幸いなことに、韓日の国民には声を上げる権利が保障されている。為政者を選挙で選ぶ権利もある。世界各地の情報に接することも可能だ。「世界はどんどん不安定で危険な状況に進んでいる」が、「個人が危険を回避する手段はどんどん増えている」といっていいだろう。


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