韓日の人的交流で、その中核をなすのは個人旅行だ。ビジネスや団体客ではない。個人で自由気ままに、というのが主流だった。その個人旅行客が戻ってくる▼岸田文夫首相は23日、新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和すると発表。その一環として、10月11日から一日の入国者数の上限を撤廃し、ビザなし個人旅行も認めるという▼すでに緩和の見込みが濃厚だった今月初旬から、韓国から日本への旅行予約は急増していた。そのタイミングでの首相の発言により、予約はさらに取りづらい状況だという▼岸田首相の発表まで、日本は一日の入国者を5万人までに制限し、原則として旅行会社経由の団体旅行ツアー客のみを受け入れてきた。さらに、ビザの取得も義務化されていた。それらの条件が撤廃されるとのことで、ツアーをキャンセルして個人旅行に切り替える韓国人も少なくないという▼コロナ禍に見舞われる前、韓国人の最多旅行先が日本だった。その日本が個人客に門戸を開くこととなり、にわかに忙しくなった。旅行各社はうれしい悲鳴を上げている。航空会社、特に韓日路線で稼いできた格安航空会社は、増便体制を整えて待ち構える▼受け入れる日本側も、インバウンド客を対象にしている観光地は特に歓迎するに違いない。空前の円安が続く今、外国人客の財布のひもも緩みやすい。個人客を解禁した日本政府の狙いもそこにあるだろう▼一足先にノービザ個人観光を解禁した韓国では、日本人客が急増した。日本はどうなるだろうか。