現実化した韓国の人口減

統計開始以来72年目で初の減少
日付: 2022年08月15日 07時50分

韓国の総人口が統計開始以来、初めて減少に転じた。「人口危機」がいよいよ現実味を帯びてきた格好だ。人口が減少し始めた原因を、韓国社会に潜む問題から探ってみたい。     (ソウル=李民晧)

 

加速度的に進む高齢化と過去最低の出生率

統計庁が発表した「2021年人口住宅総調査」データによると昨年11月1日現在、国内に居住する総人口(外国人含む)は5173万8000人で、一昨年の同時期に比べて9万1000人減少した。比率では0・2%程度減少した格好だ。さほどインパクトのある数字とはいえないものの、韓国政府樹立の翌年(1949年)に統計が開始されて以来、72年目にして初めて減少に転じた。いよいよ未来に向けたアラートが出されたともいえるのだ。
人口減少の原因は、新生児よりも死亡者数が上回ることによる。コロナ禍の余波による在留外国人の減少(2・7%減)が影響したものとみられている。複数の要因を総括すると、人口減少は「これからが本番」であることを示唆している。
生産年齢人口の減少はさらに深刻な問題だ。韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で高齢化の進行が早く、出生率は世界最低に留まっている。昨年基準で65歳以上の高齢者人口が1年で42万人増えた半面、彼らを支える15~64歳の生産年齢人口は34万人減った。将来人口推計によると、生産年齢人口は2020年の3738万人から50年には2419万人に、35・3%減少することが予測されている。
特に、総人口における主要生産年齢(25~49歳)の比率は、20年の36・8%から50年には23・1%まで減少する。人口減と高齢化が続けば国家成長のエンジンは止まり、経済活動は鈍化し、高齢者の扶養と福祉にかかる社会保障費が加速度的に増加することは自明の理だ。

単身世帯とDINKSが61・7%

これらの問題に対して、最優先に果たすべきは出生率上昇に向けた対策を講じることだ。しかし、「ざるで水をすくう」という言葉の通り、天文学的な予算を投じたにも関わらず効果は芳しくなかった。韓国政府が出生率上昇のために注ぎ込んだ予算はここ15年間で380兆ウォンに達する。しかし、毎年の合計出生率(女性1人が生涯で産むと予想される子供の平均人数)は年々下がり続けている。昨年は世界最低の0・81人にまで低下した。
結婚せず、単身生活を続ける人も急増している。昨年、韓国の単身世帯は700万を突破した。単身世帯の比率が33・5%にまで上昇し、前年より7・9%、52万8000世帯も増えた。10年間で2倍近く増加し、716万6000世帯に達する。
2人世帯も前年比3・6%増加し、初めて600万を超えた。単身、2人世帯を合わせた比率は61・7%で、単身者や子供を持たないDINKSが韓国の普遍的な世帯の形として定着する傾向にある。
若者が結婚と出産を避ける背景には、高すぎる住宅価格や安定した働き口の不足、課外教育費の上昇といった社会問題がある。出生率の低下問題は、出産奨励金や児童養育手当を支給するだけでは解決を図れない。つまり、これまでの政策は完全に裏目に出ているといえるだろう。安定した働き口の拡充や定年の延長、不動産や教育、児童福祉資源の強化など「子供を産みたい国づくり」のための政策設計が切実な課題となっている。

移民政策で解決探る

人口減少対策の一つに移民政策も挙げられている。コロナ発生以前の韓国は、在留外国人の数がすでに全国民の4%(250万人)を超えていた。尹錫悦大統領の就任後、移民政策が新たに検討され始めた。従来の移住・在留許可及び手続きを取り扱う程度の枠組みから離れ、家族単位にまで拡大して外国人移住者を受け入れる方案を検討し、これに対する独立的な専門機関をつくろうという議論が始まったのだ。
これに対し、韓東勲法務部長官は大統領業務報告の中で「移民庁」の設立が必要だと提案した。現在、法務部は出入国・外国人政策本部を傘下に置いている。韓長官の提案はつまり、人口減少による経済規模の縮小を抑えるため、生産年齢人口に該当する外国人の国内移住を柔軟に拡大させ、その専門機関として移民庁をつくろうというものだ。
韓長官は「なし崩し的に移民の許容基準を下げるものではない。人口、労働、治安、人権問題、(移民を受け入れる)相手国との相互主義の原則などを踏まえた上で、100年後を見据えるレベルで原則を打ち立て、システマティックに推進していく」と趣旨を明かした。
韓国の移民政策はこれまで、外国人の出入国問題や国内移住・移民者の管理レベルに留まっており、移民者を増やすことに対する議論については消極的だった。歴代法務部長官らも移民問題には関心を寄せていなかった。
人口危機が現実味を帯びてきた今、経済活動人口の不足を補完するための議論が今後さらに具体化・活性化することは明らかだろう。


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