【映画】『時代革命』

19年の香港民主化デモ180日の記録 人間模様も描き出す自由求める戦い
日付: 2022年07月29日 10時39分

自由とアイデンティティーをめぐる、絶望と希望の物語 ©Haven Productions Ltd.
 2019年に香港で起きた民主化デモの様子を捉えた2時間半に及ぶ長編ドキュメンタリー作品だ。監督は、15年から10年後の香港を題材に描いたオムニバス作品『TEN YEARS(十年)』(15年)でメガフォンを取った香港の新進気鋭の若手監督5人のうちの一人、キウィ・チョウだ。このときも、擬似ドキュメンタリー形式の作品で真っ向から香港独立問題を描いたと話題になった(『焼身自殺者』)。
本作品はカンヌ国際映画祭のサプライズ上映で世界的に注目を集め、台湾では金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。
19年、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」が立法会に提出されたことが発端となり、香港で民主化を求める大規模なデモが起きた。これは、中国共産党当局によって自由が奪われていく香港の状況に、市民らが立ち上がったものだ。参加者は同案の完全撤回や普通選挙の導入などを5大要求として掲げ、6月16日には約200万人が参加するなど、大きな運動となった。
映画は、警察との衝突が激しさを増していく最前線の様子、SNSを駆使して機動的に統制されていた実態をはじめ、最前線にいる孫を守るために70代で街頭に出ることを決めた祖父や、それまで疎遠だった兄弟姉妹がデモを通じて仲を深め、互いに頼りあい真の家族になるストーリーなど、人間模様も描かれる。
キウィ・チョウ監督はこの映画について、次のように述べている。
「この映画でインタビューし、撮影したすべての人に感謝したい。そのうちの一人は16歳の中学生だった。映画を作っている間、私は何度も泣いたし、何度もこの作品で自分自身を慰め、恐怖とトラウマに向き合った。私は映画の最後にあるクレジットに香港人と入れた。この作品が、良心と正義感を持って香港のために涙を流したすべての香港人のものであってほしい」
金馬奨受賞に際して審査委員は、「追跡調査とインタビュー形式で抵抗運動の話を緻密に記録するだけでなく、関係者の声を深いところから引き出しており、人間という原点と価値を浮き彫りにしている」と評価した。

公式HP=https://jidaikakumei.com/
公開=8月13日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開。


閉じる