韓国経済の低迷が伝えられる中、急成長を遂げている分野がある。軍事・防衛産業だ。朝鮮日報によると、韓国の昨年の武器輸出額は約70億ドル。輸出高は過去5年で176・8%増加し、輸出の世界シェアも1%から2・8%に急伸した。米露仏中独伊英に続く世界8位だ▼これは、韓国にとって画期的な出来事と言えるだろう。韓国経済は、自動車や造船といった重工業が看板だった時代を経て、ITや半導体が牽引してきた。こうした構造は日本と似ており、ともすると先行する日本の技術に対して後塵を拝してきた▼だが、軍事・防衛産業は、日本が積極的に進められない分野である。アジアの民主主義国家の中で、軍事・防衛分野をリードできるポテンシャルを韓国は秘めている。韓国はリーダーになれるのである▼軍事・防衛産業の発展は、貿易構造にも変化をもたらすだろう。韓国の最大の輸出先は中国である。これがリスクであることは周知のとおりだ。韓国の高官は、欧州が中国に匹敵する経済規模であることを指摘し、軍事・防衛産業、さらには原発技術がその主力商品になると見込んでいる▼軍事・防衛産業や原発産業は、高度な技術の集積である。また、開発段階で非軍事産業に転用可能な技術の発展につながることもある。韓国発の技術が世界のスタンダードになるかもしれない▼自動車・IT・半導体なども、最初は小さな挑戦から始まった。それが世界的な企業をいくつも抱えるまでに成長した。軍事・防衛産業の今後も見守りたい。