「朝総連は民団と共同行動せよ」 金正恩が書簡で強調

日付: 2022年06月08日 00時00分

  5月28日、都内で開催した在日朝鮮人総連合会(朝総連)の全体大会で、金正恩総書記から寄せられた書簡が読み上げられた。そこには、「朝総連は民団との共同行動の活発な展開に取り組むように」と強調されていた。蜜月の仲だった文在寅から政権交替となった保守系の尹錫悦政権が、日米と友好路線を取って北韓に強硬姿勢で臨んでいるなか、金正恩の言動の背景と真意とは。

   金正恩朝鮮労働党総書記が朝総連全体大会に送った書簡は12ページにわたり、そのなかに「民団との共同行動を活発に展開すべき」と記されていた。この意図はなにか。本紙の洪ヒョン論説主幹が原文を独自に和訳してその真意を探った。
「冒頭、朝総連は金日成と金正日が作った、在日朝鮮人が進むべき道であると述べている。金日成主義はもはや宗教。現在の年号であるチュチェも、金日成の誕生日から始まっている。また、彼らは自らを朝鮮民族ではなく、金日成民族という」と語った。
続いて、書簡の内容にふれた。「書簡には任務のほかに、金日成民族はどのように生きるべきかを厳しく規定している。書簡では金日成思想を信仰として、自分の生活の根幹とすべしと明記。また、労働党日本支部傘下の団体ごとに、非常に細かく任務や活動方針を指示し、活動報告を求めている」と解説。
さらに、日本メディアが見落としている重大な事項として、彼らの民族教育の正体が書簡から読み取れると指摘。「民主的民族教育は、在日朝鮮人の将来がかかっている愛国事業である。民族教育は自分の首領、祖国、民族についてはっきりと認識させなければならない。教育活動家は総連の愛国偉業の未来において責任を持つこと」と明記。
北韓にとって教育とは、金日成思想の革命家を育成するためのもの。「朝鮮学校は金日成と金正日が国家の宝として大事にしてきた民主的民族教育の最高峰学府である」と明記した後に、「朝総連は民族統一の旗印のもと、統一愛国精神を活発にし、組織外同胞である民団とも共同行動すべし」と続けている。
これについて洪主幹は「金日成主義は宗教であり、その思想を教育して革命家を育成している。オウム真理教以上に恐るべき宗教団体である」と、危機感を募らせた。民団との共同行動という目立つ部分にとらわれて、その根幹を成す強大な洗脳教育を見過ごすことはとても危険である。
では、この報道を在日同胞はいかに受け止めているのか。民団や各種団体に聞いてみた。「そのような書簡が発表されても、具体的な行動がないので静観するしかない」というのが大方の意見。また「もともとは同じ民族の兄弟なのに、こういう一方的な言動ばかりで、交わることができない。もっと筋道を立てて向かい合って話さなければ、統一は叶わない」と嘆く声も。
なかには「仲良しの文政権時に事を起こした方がやりやすかったのに、今こういう発言をするということは、金正恩が文政権の失脚を先読みしていたのだろう」という見方もあった。それを見越したうえで、保守政権になった今、どう対処するのか。これは様子見のジャブという一手か。または「労働党や朝総連の人事面から、いくらか読める部分もある」という声もあるように、水面下で何らかの秘策がすでに進行中か。
大統領就任式の2日後にミサイルを発射した国だ。しばらくはあらゆる角度から注視せねばならない。


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