故意の「天安艦」再調査 全盛根の不可解な決定で混乱

日付: 2022年06月07日 11時45分

  大統領の直属組織「軍死亡事故真相究明委員会(以下、究明委)」は2020年、「天安艦沈没事件」について、再調査の対象外という事実を把握していながら再調査の決定を下したことが明らかになった。
監査院による調査の結果、当時のイ・インナム委員長は「天安艦座礁説」を提起したシン・サンチョル氏の訴えを受け入れ、同年12月から再調査を行った。
イ・インナム委員長は元民弁(民主社会のための弁護士の集い)のメンバーであり、18年に当時の文在寅大統領が任命した人物だ。しかし、この調査は天安艦の犠牲者遺族と生き残った将兵らの反対に遭い、中断することになった。
監査院は昨年11月から究明委の監査に乗り出し、再調査の決定が不当だったことを指摘した。
監査院は「究明委事務局は、(シン氏が)訴えを起こす権利や知識などの要件を満たしておらず、天安艦沈没事件の原因は明白であり委員会の調査対象となる『軍死亡事故』に該当しないため却下対象であることを把握していた、もしくは把握することができる状態だった。それでもなお、調査開始を決定して不必要な騒動を惹起させた」と結論付けた。
10年3月26日、西海・白〓島の海上で発生した天安艦沈没事件は当時、韓国や米国など5カ国の専門家が集う民軍合同調査団の調査で「天安艦は北韓の魚雷攻撃で沈没した」との結論に至っていた。
文在寅政権当時、放送審議委員会は「潜水艦衝突説」などの陰謀論を展開したYoutubeコンテンツに対して「表現の自由」という理由で放送を許可した。さらに18年、文前大統領は天安艦攻撃の主犯とされていた北韓の金英哲(当時の偵察総局長)を招請し、国賓級の待遇でもてなした。
昨年11月、「天安艦」の名称をつけた新型護衛艦の進水式を行ったが、当時の天安艦の沈没事件で生き残った将兵たちは全員不参加だった。国を守って犠牲になった軍人らの名誉を政府が失墜させたとして抗議の意を表したものだ。
(ソウル=李民晧)

2010年4月24日、北韓の攻撃による沈没から1カ月ぶりに引き揚げられた天安艦


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