韓国の新たなスタンスが明らかになった3日間だった。尹錫悦大統領は、中国寄りだった前政権と真逆の姿勢を打ち出した。会談した米国のジョー・バイデン大統領だけでなく、周辺国にもそれは十分に伝わったはずだ▼韓半島の北側では、周辺国に脅威となる兵器の開発が進んでいる。実験を含め、挑発行為も止まらない。バイデン大統領が韓日訪問から帰国したタイミングを見計らったかのように、ミサイル発射実験を行った▼韓国の反応は素早かった。軍は弾道ミサイル「玄武2」の発射実験を敢行。北韓への対抗措置であることも明らかにした。前政権では考えられなかったことだ。この対応は同盟国を安堵させたに違いない▼韓米首脳会談に話を戻すと、「安全保障」の概念が、従来の軍事面を中心としたものから、より多方面に拡大していることも印象づけた。両首脳が最初に訪問したのが、昨年、約2兆円を投じて米国に半導体工場を新設する方針を発表したサムスンだった▼近年新たなリスクとして浮上したサプライチェーンのマネジメントにおいて、半導体が重要な存在であることは論を待たない。中国がレアアースの輸出を規制し、各国が混乱に陥ったことは記憶に新しい。逆のケースとして、ロシアが欧州諸国から原油の禁輸措置を取られたが、中国やインドが輸入を増やし、制裁の抜け道となった▼米国とともに歩む道を選んだ韓国。結末がどうなるか、少なくとも外交面では失政続きだった文在寅政権とは反対に舵を切ったのは間違いない。